ニュース & 話題
空海の心伝わる♪高野山初の静慈圓・書画作品展
平安時代初期の日本三筆の一人・弘法大師空海が開いた和歌山県高野町高野山の高野山ギャラリーで、5月2日、空海の思想研究に打ち込む高野山霊宝館の静慈圓(しずか・じえん)館長(74)の初の「書画作品展」が開幕した。5月7日(日)まで。観覧無料。
静館長は徳島県出身で高野山・清凉院(せいりょういん)住職。高野山大学名誉教授、高野山真言宗総本山・金剛峯寺の次期・寺務検校執行法印(じむけんぎょうしぎょうほういん)である。
高野山大の学生時代から、空海の思想研究に没頭し、空海の偉大さを感得。空海の漢詩文「性霊集(しょうりょうしゅう)」や、中国・唐の高僧・恵果阿闍梨(けいかあじゃり)が、宮廷絵師に描かせて、空海に与えた「両界曼荼羅(りょうかいまんだら)」など、漢字、梵字(ぼんじ)・悉曇(しったん)文字や仏教芸術を学ぶ大切さも痛感した。
そこで大阪在住の書家・小坂奇石(こさか・きせき)先生(故人)に師事、漢字や梵字悉曇を究め、今では再三、中国にも渡り、学術会議に出席・交流している。
この日開幕した「書画作品展」では、書作品約50点と絵画作品約10点を展示。
例えば、空海の漢詩文「蓮(はちす)を感じて自浄(じじょう)を知る」や、「一念の眠りの中に千萬の夢あり」はもちろん、高野山奥の院参道わきに立つ石碑の文字を写した「お遍路の祖師と在るこころ尊とけれ」や「忘てもくミやしつらん旅人の高のゝおくの玉川の水」などの俳句・和歌なども出展。弘法大師の御尊像の彩色画や金剛吼(こんごうく)菩薩像の墨絵などを掲示。会場内では、素敵な香りの中国茶を振る舞っている。
観覧する参拝・観光客らは、おおらかな書体と、その解説文を読んで、「やっぱり弘法大師・空海に心が洗われる」「高野山で立派な書画に出会えた」と喜んでいる。
静館長は「空海の偉大さを求める、私の書画作品をご覧いただき、視覚から空海の偉大さを知ってもらえたら光栄です」と話していた。
同書画作品展は、午前9時~午後5時。場所は金剛峯寺前・駐車場の南側建物。
静館長の書画展(個展)は国内外で4回開催、高野山では初めて。著書は「空海入唐の道」(朱鷺書房)、「シルクロードの風」(東方出版)、「空海の行動と思想」(法蔵館)など多数。
写真(上)は彩色画「弘法大師の御尊像」や書作品と静慈圓館長。写真(中)は静館長が書いた空海の見事な漢詩文。写真(下)は空海の思想が伝わる書画作品展の風景。