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弥生人の哀歓ひしひし~橋本の遺跡・出土品展示
高野山麓の紀の川流域のまち、和歌山県橋本市の〝弥生人の暮らしぶり〟を知ってもらおうと、橋本市あさもよし歴史館(同市野516)は、企画展「土地に刻まれた歴史はしもと」を開催し、これまでに地元遺跡で発掘された見事な弥生式土器を展示している。館員の藤田典子(ふじた・のりこ)さんは「ぜひ郷土の弥生遺跡や出土品をご覧になり、橋本の良さを感じてください」と、来館を呼びかけている。3月31日(金)まで。観覧無料。
展示品は弥生時代(通説=紀元前300年頃~紀元後300年頃)の血縄(ちなわ)遺跡、市脇遺跡、垂井(たるい)女房が坪遺跡、柏原(かせばら)遺跡、名古曽Ⅱ遺跡から出土した壺や甕(かめ)、鉢など約40点。
例えば、狩猟中のような弥生人の姿がデッサン状に刻まれた小石(絵画土器)、稲田で穂摘刈(ほつみか)りに使われた紐穴(ひもあな)2つのある石包丁(いしぼうちょう)、いにしえの装身具の勾玉(まがたま)や管玉(くだたま)、子どもの亡骸(なきがら)を納めた甕棺(かめかん)、漁具を浮き沈みさせる土錘(どすい)と網などで、いずれも感覚を平成から弥生へタイムスリップさせる逸品ぞろい。
弥生時代に立派な芸術家がいたこと、農具や漁具を考案・手作りしたこと、身を飾って自他ともに愉快にしたこと、涙ながらに子どもと別れたことなど、当時も今も変わらない、弥生人の哀歓がひしひしと伝わってくる。
2月25日(土)午後1時30分~同3時には、同館で今回の「企画展講演会」を開催。橋本市文化財保護審議会の冨加見泰彦(ふかみ・やすひこ)委員が「弥生時代のはしもと」をテーマに語る。受講無料。定員(30人)になり次第締め切られる。電話受付で希望者は同館(電話0736・33・0221)へ。
藤田さんは「今回の企画展は、冨加見先生のご指導をいただきながら、企画・開催しました。郷土にはこんなに素敵な文化財や遺跡があることを知ってもらえたらうれしいです」と話している。
一方、昨年夏に始まった企画展「高野山参詣道『黒河道(くろこみち)』いざない」は、黒河道が世界遺産に追加登録されたことから、開催期間を延長し、今回の企画展「土地に刻まれた歴史はしもと」と併催している。
橋本市あさもよし歴史館は月曜日と祝日の翌日が休館。開館時間は午前9時~午後5時(入館は同4時40分まで)。場所はJR和歌山線・紀伊山田駅か和歌山バス・岸上バス停から北東へ徒歩約10分のところ。
写真(上)は垂井女房が坪遺跡から出土した甕棺を紹介する藤田館員。写真(中)は狩猟しているような人間の姿が刻まれた小石。写真(下)は約40点の弥生式土器を並べた企画展会場。