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心癒す釈迦生誕~涅槃図♪大宝蔵展「高野山の名宝」
現存最古の国宝・仏涅槃図(ぶつねはんず)などを紹介する第37回大宝蔵展「高野山の名宝」が、和歌山県高野町の世界遺産・高野山の高野山霊宝館=静慈圓(しずか・じえん)館長=で開かれている。とくに今回は仏教の開祖・釈迦牟尼(しゃかむに)の生誕から入滅までの情景を描いた絵画などが出展されていて、参拝・観光客の心を癒している。10月3日(金)まで。会期中無休。
今回、注目されるのは、釈迦の絵画で、応徳3年(1086)の墨書銘から、多くの涅槃図の中で現存最古の仏涅槃図。沙羅双樹の下で入滅する釈迦と、見守る弟子たちの情景が表現されている。
この仏涅槃図に合わせて釈迦誕生図も紹介。釈迦が無憂樹(むゆうじゅ)の花に触れた摩耶夫人(まやふじん)の右脇から、生まれて7歩あゆみ、右手で天、左手で地を指し、「天上天下唯我独尊」と獅子吼(ししく)したという伝説を描写。
さらに室町時代の釈迦三尊像は、釈迦を中央にして、右には獅子に乗る文殊(もんじゅ)菩薩、左には象に乗る普賢(ふげん)菩薩の絵を掲出。釈迦関連は計16件にのぼる。
このほか、中国・唐代の勅撰(ちょくせん)漢詩文集の国宝・文館詞林(ぶんかんしりん)、代官時代の源義経が高野山の訴えを認めた国宝・源義経書状、高野山の開創よりも古い紫紙金字金光明最勝王経(ししきんじこんこうみょうさいしょうおうきょう)など、見応えのある宝物の数々が出展されている。
その数は国宝4件、重要文化財10件、和歌山県文化財4件など計65件79点。前期(~8月21日)と後期(8月23日~10月3日)で一部展示替えがある。
霊宝館の研谷昌志(とぎたに・まさし)学芸員は「奈良時代から近代まで、高野山・各寺院などに奉納された沢山の名宝を展示。そこから奥深い仏教の歴史、中央政府と高野山との関係などを感じてほしい」と言っている。
開館時間は午前8時30分~午後5時(入館は閉館の30分前まで)。利用料金は一般600円、高校・大学生350円(学生証要提示)、小・中学生250円。問い合わせは高野山霊宝館(電話0736・56・2029)。
写真(上)は現存最古の国宝・仏涅槃図。写真(中)は鎌倉時代の釈迦誕生図。写真(下)は解説する研谷学芸員と絵画・釈迦三尊像。