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高野山の風景映像で伝承♪中門再建など西本さん82歳
世界遺産・高野山の宗教行事や祭典、建造物再建などの光景を記録保存しようと、ビデオ撮影・編集・制作に取り組んでいる82歳男性がいる。高野山メイン通りの元洋品店経営者・西本喜多郎(にしもと・きたろう)さんで、西本さんは「今後も素晴らしい高野山の記録映像を、後世に伝承したい」と誓っている。
西本さんは昭和37年(1962)頃から、8ミリカメラを使って、幼い2人の子供の成長ぶりを収録。昭和61年(1986)頃から、大門の修復や国宝・不動堂の解体修理などの光景を撮影。平成24年(2012)以降は、大火災で焼失した高野山・壇上伽藍(だんじょうがらん)の中門(ちゅうもん)跡の発掘調査、再建材料の山林伐採や搬出、中門再建と四天王像入場までの光景を撮影・編集。映像作品「中門再建の記録」(2時間)を制作した。
例えば、山林伐採風景は、専門職が高さ約45メートルの高野ヒノキに紐(ひも)1本で登り、上部をチェーンソーで切り落とし、その後も下へ降りながら伐採を繰り返し、計4本の丸木が根元に並ぶ。さらに上空からヘリコプターがワイヤーロープで吊り上げ、不動坂の土場へ搬出する、中門再建に至るまでの、山仕事のすさまじさを記録している。
西本さんは、この「中門再建の記録」を高野山真言宗総本山・金剛峯寺に奉納。中門の上層部に大切に収納された。高野山開創1200年記念大法会・中門落慶法要が営まれた平成27年(2015)4月2日、西本さんは高野山真言宗・中西啓寶(なかにし・けいほう)管長(当時)から感謝状を授与、その功績を讃えられている。
さらに同法会(~5月21日)の撮影にも挑み、「高野山開創1200年大法会 庭儀大曼荼羅」「高野山1200年の光 マッピング」「秋篠宮さん高野山へお登り」「安倍総理 高野山へ」の各光景をDVD作品に仕上げた。「中門再建の記録」は「学校教材用」として50分作品に短縮保存するなど、高野山関連の作品は計約60本にものぼる。
西本さんは「私は高野山で生まれ育ち、80年以上も生かされているのは、まさしく弘法大師・空海のお陰です。これからもお大師様に感謝しながら撮影、お供えするつもりで記録作品を残したい」と元気な笑顔を見せていた。
写真(上)は撮影中の西本喜多郎さん=高野山・普賢院・境内で。写真(中)は金剛峯寺に奉納したのと同様作品。写真(下)は編集・制作中の西本さん=自宅・編集室で。