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立春日和♪アイガモ遊泳・金時・サクラソウ満開
和歌山県橋本・伊都地方は、立春の日の2月4日朝、氷点下3度と真冬並みの冷え込みとなったが、正午には9度まで上昇して、心地よい暦(こよみ)通りの〝立春日和〟となった。
橋本市御幸辻の杉村公園の八王子池では、3匹のアイガモが仲良く遊泳。水面に映える浮雲は、波紋にゆらめき、アイガモは嘴(くちばし)で羽繕(はづくろ)いして、清々(すがすが)しい感じの光景。
ここ公園内ある松林荘(しょうりんそう)は、世界的な数学者で橋本市名誉市民の「岡潔博士の記念館」に改装される構想が進んでいるだけに、博士が池に投石し、その波紋を終日観察したり、「めぐり来て梅懐かしき匂ひかな」の句をひねったりしたことも、何か胸を突き上げてくるものがある。
九度山町の雨引山中腹に立つと、青空をバックに三石山、大和葛城山、国城山、高野山がくっきり見える。眼下には南海高野線・九度山駅があり、真っ赤な電車がカタコトと〝幸村の里〟を行く。その向こうは橋本の市街地で、幾つもの浮雲の影が、あたかも何の分別もないように通り過ぎていく。
一転して「さなだの道」(九度山駅~紀の川・九度山橋)の商店街を歩くと、驚くのは綺麗な和風建築の、河原正明(かわはら・まさあき)さん方の玄関脇に飾られた、高さ2メートル余もある陶芸の「金時(きんとき)」だ。そばに真田家の「六文銭」の家紋入り木箱8器が並び、そこにサクラソウとビオラの花が満開。やさしくも3人掛けのベンチが据えられている。
「金時」は大正時代の陶芸家・井端荘平(いばた・そうへい)さん作で、「九度山」と言えば「ああ金時のある…」と、今や九度山の象徴的な存在。「六文銭」花壇は、地元有志が空き缶や古紙回収で貯めたお金で、役場から六文銭の木箱を買い、花々を丹精込めて栽培してきた。
近くの梅下百貨店の奥さん・梅下恵子(うめした・けいこ)さんは、「大河ドラマ・真田丸をご覧になり、幸村の里・九度山に来てくれる観光客の皆さんに、少しでも喜んで頂きたくて」とにっこり。「金時」はしかと目を見開き、口を凛々(りり)しく結んで、サクラソウのピンクの花びらは、柔らかい日差しと風の中に、楚々と揺れていた。
写真(上)は杉公園・八王子池で遊泳を楽しむアイガモたち。写真(中)は立春の日の〝幸村の里〟や九度山駅近くを走る電車。写真(下)は〝さなだの道〟の商店街にある「金時」と六文銭・花壇。