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鮮やか御祝儀チラシ制作~秋祭り2人丹精込めて
国宝・人物画像鏡が伝わることで名高い和歌山県橋本市の隅田八幡神社・秋祭りを控えて、同市清水の元小学校教諭・伴弘己(ばん・ひろみ)さん(71)と同市古佐田の書道師範・加隈隆照(かぐま・りゅうしょう)さん(60)の2人が、名物「担ぎ屋台」(かつぎだんじり)を飾る御祝儀チラシ作りに貢献している。
この御祝儀チラシは、厚い模造紙(縦約80センチ、横約50センチ)に、宝船や鶴亀、ダルマ、恵比寿と鯛(たい)などの水彩画を描き、そこに毛筆で、例えば「中島区さんへ 金壱封」と書き、贈り主の氏名や屋号を記す。
教育者らしく〝ほのぼの絵画〟を描くことで知られる伴さんが、御祝儀チラシのめでたい絵柄を、居合道・教士7段でもある加隈さんが、気迫こもった書を担当。隅田町の門前交流館2階で、模造紙に向って黙々と精魂を込め、10月10、11両日の秋祭りまでに約100枚を仕上げる。
隅田八幡神社の秋祭りは、鎌倉時代の放生会(ほうじょうえ=殺生を戒める宗教行事)を起源とし、中将姫や合戦武士などの緞帳(どんちょう)で飾られた「担ぎ屋台」で練り歩く、まさに日本の原風景。
御祝儀チラシは地元13地区のうち、今年当番で担ぐ4地区(中島、恋野、垂井、境原)の担ぎ屋台の前部の竹と松に取り付け、祭りに御祝儀の有難さを添えることになる。
隅田八幡神社だんじり振興会・祭り囃子保存会会長の中西修さん(74)の話では、同会が発足した平成9年(1997)、宝くじ助成金で新造した「宝だんじり」に、初めて地域奉仕活動で作った御祝儀チラシを飾ったのが始まり。10年前からは伴さん、加隈さんのベテラン2人に依頼してきたという。
秋祭りは五穀豊穣を喜び、天下泰平を祈る。伴さんと加隈さんは「皆さんに喜んでもらえるだけでうれしい」と話し、中西さんは「お二人のお陰で、今秋も担ぎ屋台を飾ることができます。皆さんにぜひご覧いただきたい」と謝辞を述べていた。
写真(上)は御祝儀チラシにダルマの水彩画を描く伴さん。写真(中)は御祝儀をした方の氏名などをしたためる加隈さん。写真(下)は陰干しされる御祝儀チラシと伴さん、加隈さん、中西さん。