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俳句で石童丸偲ぶ~学文路苅萱堂~一句ひねってね
平安時代末期の「親子の哀話・石童丸物語」ゆかりの学文路苅萱堂(かむろ・かるかやどう=和歌山県橋本市学文路)わきにある、「悲話残す千里の塚も虫浄土」(蘇風)など三つの句碑が、虫すだく仲秋、近府県から訪れる俳人やハイカーらの心を和ませている。学文路苅萱堂保存会顧問で俳人・蘇風(そふう)=本名・岩橋哲也(いわはし・てつや)さん(85)は「どうぞ石童丸親子をしのび、一句ひねって投句してください」と言っている。
石童丸物語は平安時代末期、石童丸と母・千里御前が、高野山に出家した父・苅萱道心を慕って、高野山麓にやってきた親子の哀話で、学文路苅萱堂は千里の前の墓碑が建つ菩提寺。
苅萱堂のそばには、平成15年(2003)に建立された「ホトトギス」名誉主宰・稲畑汀子(いなはた・ていこ)選の「悲話残す千里の塚も虫浄土」(蘇風)や、「冬垣に人懐かしき椿かな」(橋本市高野口町の俳人・故・吉川木城=よしかわ・ぼくじょう)、「道心のおこりは花のつぼむ時」(江戸時代前期の俳諧師・向井去来=むかい・きょらい)の句碑3基が建ち、周辺には這柏槇(はいびゃくしん)や椿(つばき)などが植えられている。
学文路苅萱堂は、高野山・参詣道沿いにあり、紀の川流域のまちの風景が一望できる。それだけに過去幾多の俳人やハイカーが徒歩で往来。3基の句碑建立後の10数年間の「投句数」は、500句以上にのぼる。今まさに「虫すだく」季節。岩橋さんは「石童丸物語に思いを馳せ、石童丸物語の舞台で、素敵な一句を残してほしい」と言っている。
写真(上)は学文路苅萱堂そばの3基の句碑と岩橋さん。写真(中)は向井去来の句碑。
更新日:2015年9月12日 土曜日 00:00