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映像と楽しむ「高野祭事記」郷土史家・松山さん出版

高野山開創1200年・世界文化遺産登録10周年を記念して、映像作家で郷土史家の松山健(まつやま・けん)さん(82)は、高野山の宗教行事と四季の自然を紹介した「高野祭事記」(DVD付き)=文芸社=を発刊した。高野山の単行本&DVDセットは珍しく、松山さんは「神仏習合(しんぶつしゅうごう)の真言密教と四季の自然、その日本の原風景をじっくりご覧ください」と言っている。
「高野祭事記」はA5版92ページ。表紙は花園の御田舞(おんだまい)や旧正御影供(きゅうしょうみえく)など12枚のカラー写真で装丁。これまで高野山関連の出版物は、「紀伊山地の霊場と参詣道」として、世界文化遺産に登録された「道」「建物」「石」など、『有形文化財』の紹介が多かったのに対し、この「高野祭事記」では毎春、丹生都比売神社で豊年満作を祈る「天野の御田祭(おんださい)」、毎夏、丹生官省符神社で無病息災を祈る「茅の輪(ちのわ)くぐり」、毎秋、高野山壇上伽藍(だんじょうがらん)で神輿渡御(みこしとぎょ)を営む「丹生・高野明神祭り」、毎冬、1年間の罪障(ざいしよう)を懺悔(ざんげ)する「大塔修正会(だいとう・しゅしょうえ)」など、いわば『無形の文化財』と、四季折々の自然に照準を合わせて綴られている。
付録のDVDは1時間10分の長さで、松山さんが昭和53年以降、高野山やその山麓の社寺などに通い、上記のような四季と宗教行事などを丹念にビデオ撮影した。『有形文化財』なら静止写真でいいが、『無形文化財』や自然の情感になると、動画表現の方が伝えやすいとして、今回、松山さんが撮影を続けてきた映像をナレーション入りで編集した。本の文章はコンパクトに抑えられ、映像はまるで其処にいるような臨場感に満ちている。
とくに弘法大師(空海)が勧請した壇上伽藍(だんじゅうがらん)にある高野明神では、大晦日の迎春神事「御幣(ごへい)納め」が繰り広げられる。長さ約4メートル、直径60センチの大松明の火が、男たちに担がれ、伽藍を横切り、丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ)と高野御子大神(たかのみこのおおかみ)を祀る、御社(みやしろ)に奉納する。「高野四郎」と言う名の除夜の鐘が鳴り渡り、降る雪が散華のように散る。
松山さんは「これは神事ですが、僧侶が祝詞(のりと)ではなく、般若心経を唱え、2拍手で締めくくる。今なお宗教対立し、戦争を続ける、醜い世界とはまったく違う、真言密教の神仏習合の素晴らしい光景です」と強調。「今回、DVDで紹介した風景は、参拝・観光客の誰もが観覧できる場所から、撮影したものですから、皆さんもぜひご覧になり、人生を豊かにしてください」と推奨している。
「高野祭事記」は定価1200円(税別)で7月1日、全国の主要書店で発売予定。問い合わせは、東京都新宿区新宿1の10の1の文芸社(電話=03・5369・2299、FAX=03・5369・3066)へ。和歌山県立博物館ミュージアムショップ(和歌山市吹上1-4-14)でも販売することになっている。
松山さんは昭和36年、九度山中学校の教諭を振り出しに同45年、高野山中学校の教諭、同57年には和歌山県教育委員会・橋本教育事務所の指導主事、平成元年に中国・西南大学、同2年には中国・昆明理工大学で「日本概論」の客員教授を務め、同7年に帰国、九度山町教委の社会教育指導員。紀州高野紙伝承体験資料館「紙遊苑(しゆうえん)」初代苑長を歴任。現在、和歌山県アマチュア映像連盟会長。著書に高野山の有形文化財を中心に紹介した「高野山町石道~語り部の小箱」がある。
写真(上)は発刊した「高野祭事記」(DVD付き)を披露する松山健さん。写真(中)は同DVDの高野明神・御幣納めの一場面。写真(下)は同DVDの丹生官省符神社の茅の輪くぐりの一幕。

更新日:2015年6月30日 火曜日 00:00

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