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順教尼の仏心、書画から溢れ~旧・萱野家で企画展

両腕のないハンディを克服し、口に筆をくわえて書画を表した大石順教尼(じゅんきょうに、本名=よね=1888~1968年)ゆかりの和歌山県九度山町九度山1327の「旧・萱野家(かやのけ) =大石順教尼の記念館」で、同家の町文化財指定5周年記念企画展「心で描く仏の世界~順教尼の交友の歴史と仏画展」が開かれている。萱野正巳(かやの・まさみ)館長は「素敵な書画をご覧になり、障害を克服した、順教尼の偉大さを感じてほしい」と来館を呼び掛けている。5月31日(日)まで。入館無料。
萱野家は元・高野山真言宗「不動院」という里坊(さとぼう)で、同家の門に立つと、正面に順教尼の等身大超の写真が飾られ、さらに玄関を入ると、和室3室に順教尼の書画など40数点、同家の家宝の書画など10数点が展示されている。
例えば、順教尼の掛け軸の1つは、墨で描かれたやさしい表情の「観音座像」、もう1つは淡彩を施したご御来迎のような「三仏飛来」で、いずれも口筆とは思えない軽妙なタッチで描かれている。
その隣には、同家に伝わる江戸時代後期の画家・狩野栄信(かのう・えいしん)の三連幅があり、松蔭で白髭(しろひげ)の老人が白鹿と遊ぶ「寿老人」や、「松と鶴」「竹と水」の絵が並ぶ。別の掛け軸は、顔はお多福、着物は山藤柄の「和服姿のお多福」の絵もある。
萱野館長は「当家には狩野栄信はじめ、勝海舟、山岡鉄舟、高橋泥舟の幕末三舟(ばくまつさんしゅう)の書や、明治~昭和初期の画家・木村武山の仏画などの〝家宝〟が沢山あます」と説明。
そのうえで、「順教尼の絵を見ると、どことなく先人の絵画に似たところもあります。順教尼は先人の書画から学び、一段と素敵な作品に仕上げたのだと思います」と話した。
和歌山県海南市から訪れた夫婦は「来たい、来たいと思っていましたが、きょうやっと来ることが叶って、順教尼さんの書画を拝見しました。絵も書も見事で、これは障害を乗り越えただけではない。仏心が作品から溢れていて、感銘を受けました」と喜んでいた。
順教尼は大阪・道頓堀生まれ。17才の時、養父の狂乱により、両腕を切り落とされた。後にカナリアがヒナにえさを与えている姿を見て、「両手がなくても、物事はできる」と悟り、書画の道を志望。
1933年に萱野館長の祖父、萱野正之助・タツ夫妻が菩提親となり、高野山で出家得度した順教尼が萱野家に逗留(とうりゅう)。京都・山科の可笑庵で80歳の生涯を閉じるまで、書画の道を究め、身体障がい者の社会復帰事業に尽くした。
旧・萱野家は南海高野線・九度山駅から徒歩約7分、九度山郵便局のすぐ近く。開館時間は午前10~午後4時半(入館は午後4時まで)。休館日は5月11日(月)、同18日(月)、同25日(月)。同館(電話&ファックス=0736・54・2411)
写真(上)は旧・萱野家の門の正面では、等身大超の写真の順教尼が出迎えてくれる。写真(中)は順教尼の掛け軸「三仏飛来」と「観音座像」。写真(下)は素晴らしい書画作品が並ぶ旧・萱野家の企画展。
なお、常設展では順教尼・直筆の書画約40点を展示。場所は南海高野線・九度山駅から徒歩約7分。開館時間は午前10~午後4時半(入館は午後4時まで)。期間中の休館日は月曜日。問い合わせは旧・萱野家(電話&ファックス=0736・54・2411)。

更新日:2015年5月11日 月曜日 00:00

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