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高野山の案内犬ゴンの歌~6月、慈尊院で初披露
世界遺産・女人高野別格本山「慈尊院(じそんいん)」=和歌山県九度山町=から、標高約850メートルの高野山(同県高野町)まで、連日、全国の大勢の参拝者を案内した、今は亡き同院の愛犬「ゴン」の歌が作詞作曲され、6月5日(金)、同院境内で「ふしぎな犬 高野山の案内犬 ゴンちゃん ありがとう ミニコンサート」が、開かれることになった。歌の題名は「高野山の案内犬ゴンの歌」で、作詞はシンガーソングライターやラジオのパーソナリティーなどで活躍中の妙佳(taeka)さん&バンディ石田さん、作曲はバンディ石田さんが協力した。安念清邦(あんねん・せいほう)住職は「この歌は、ゴンちゃんが、人々と仲良くすることの、喜びに満ちていて、まことに素敵です」と言っている。雨天の場合はお堂内で。入場は無料。
ゴンちゃんは、紀州犬と柴犬の雑種。昭和63年(1988)春、慈尊院に住みつき、高野山・金剛峯寺までの参詣メインルート「町石道(ちょういしみち)」を、お遍路さんについていくうちに道を覚え、やがて連日、大勢の参拝者を高野山まで先導。横道に迷い込まないよう振り向いたり、マムシを察知すると追っ払ってくれたりするなど、「お大師様の使いの名犬」として脚光を浴びた。
そのゴンちゃんも、平成7年(95)には、体力が衰えて引退。同14年(02)6月5日には、老衰のため同院で永眠したが、今なお、同院境内に建つ「ゴンの彫像」に手を合わせる人々の姿は絶えない。
この話題に同県橋本市隅田町の画家・信木俊輔(のぶき・しゅんすけ)さんが感動、安念住職からの依頼もあり、数年前、ゴンちゃん物語を「紙芝居」にして、その原画を同院に寄贈。さらに妙佳さん&バンディさんが、安念住職の説明を聴き、紙芝居の絵を生かして、ゴンちゃんが歌っているように作詞作曲。弘法大師・空海の高野山開創1200年を記念に、ミニコンサートを開催する運びとなった。
「高野山の案内犬ゴンの歌」は
1 僕は野良犬さ ひとりでいたんだ
おなかはペコペコ だからとってもさみしかった
道は知ってるよ 僕についてきて
旅人を迷わず お参りにつれていくんだ
※その犬の名前はゴン 高野山のガイドです
毎日 山道を 50キロ歩きます
お寺の鐘が ゴーン ゴーン ゴン!
2 僕は先導犬さ 町石道のね
180の道しるべと 旅人を励ますんだ
何もいらないよ みんなと笑顔で
大好きなこの道を 一緒に歩きたいんだ
※repeat
3 僕はしあわせさ 家族ができたよ
たくさんの愛を いつもほんとにありがとう
大切な場所さ ずっと昔からね
親子の絆を 結んできた道なんだ
※repeat
4 僕は案内犬さ 無言の案内犬
旅人はニコニコ だからとってもうれしかった
みんなを守るよ 僕とカイの役目さ
今でも空から ずっと案内してるからね
※repeat
と、簡潔なことばで綴られていて、まるでゴンちゃんが、そばにいてくれていそうな、やさしい雰囲気でいっぱい。CDは現在、制作中で、6月5日発売を目指している。
同コンサートは、当日の午後6時~同8時に開かれ、最初に安念住職や安念邦賢(ほうけん)副住職らよる「ゴンちゃんの思い出」話が紹介され、続いて妙佳&バンディ石田グループによる「高野山の案内犬ゴンの歌」が、同院で初披露される。最後には、訪れた全員とともに大合唱、ゴンちゃんの冥福を祈ることになっている。
同院は弘法大師・空海が弘仁7年(816)、高野山開創と同時に、高野山の表玄関の政所(まんどころ)として創建。弘法大師の母・玉依御前(たまよりごせん)は、承和元年(834)、讃岐の国(香川県善通寺市)から、高野山を目指したが、女人禁制のため大師に会えず、同院に滞在。大師は毎月九度、母に会いに下山。翌年、ご母堂は83歳で永眠、大師も1か月後に入定。大師様の母を祀る寺院として名高い。
ゴンちゃん物語は、実話として、この寺や町石道、高野山を舞台に、生まれたもので、バンディ石田さんは「ゴンと言う不思議な犬の いたことを、皆さんに知ってもらいたいです。何故かと言うと、ゴンは人間の言葉を話せなかった。にもかかわらず、ゴンは、人と共感することができた。ゴンは共鳴、共感のシンボルになってくれるかも」と、ゴンちゃんを讃えた。
安念住職は「このコンサートが開催される6月5日は、ゴンちゃんの14回忌にあたります。愛するペットを亡くされた方々も、ぜひ参加されて、ご冥福を祈ってあげてください」と話した。
写真(上、下)は紙芝居「高野山の案内犬ゴンのおはなし」から。写真(中)は慈尊院に建立されているゴンちゃんの石像と建造した安念住職。