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橋本市民狂言~男女2人が初舞台~笑いと拍手と

和歌山県橋本市民による「第4回橋本市民狂言」(同実行委など主催)が、2月1日、橋本市教育文化会館2階大ホールで開かれた。今回は地元ラジオ局「FMはしもと」報道部長の中野豊信(なかの・とよのぶ)さんと、橋本市恋野地区公民館長の大居満佐子(おおい・みさこ)さんの2人が初出演し、その真剣な演技ぶりが狂言ファンを堪能させていた。
初めに平木哲朗(ひらき・てつろう)市長が、橋本市民でつくる橋本市民狂言会に対し、「こども狂言」の指導など、伝統文化を守る活動に謝辞を述べて、「この大切な営みが末永く続きますように」と祈念。石橋英和(いしばし・ひでかず)市議会議長も「日常生活の笑いをすくい取っている市民狂言を楽しんでください」と挨拶した。
この後、第1部は次の橋本狂言会メンバーが出演した。狂言「しびり」は、主人に中野豊信さん、太郎冠者に脇田清司(わきた・きよし)さん、後見は比嘉峯宰(ひが・ほうさい)さん。狂言「口真似(くちまね)」は、主人に堀内清澄(ほりうち・きよずみ)さん、太郎冠者に岸田和美(きしだ・かずみ)さん、客に大居さん、後見は比嘉さん。
また、狂言「仏師(ぶっし)」はスッパに嶋里美(しま・さとみ)さん、田舎者に植村英明(うえむら・ひであき)さん、後見は岡本好美(おかもと・よしみ)さん。狂言「千鳥(ちどり)」は、主人に前田直哉(まえだ・なおや)さん、太郎冠者に尾崎弘尚(おざき・なおや)さん、後見は岡本さん。
中野さんが主人役の「しびり」は、しびれが起こって歩けないという太郎冠者と、その仮病を見抜いた主人との、滑稽(こっけい)な駆け引きで、中野さんは歯切れよいセリフと、苦虫をかみつぶすような表情をつくって迫力いっぱい。大居さんが客役の「口真似」は、間違って招いた酒乱の男を帰すために、主人と太郎冠者との間で繰り広げるユーモラスなやりとりで、大居さんは主人らに引っ張られたり、突き倒されたり、その〝迷惑ぶり〟を全身で表現。2人は会場から大きな笑いと喝采を浴びていた。
中野さんは東京のバンド「CARRY ON」メンバーで、会社勤めをしていた約15年前から、銀座のライブハウスなどで、アコースティックギターを抱え、フォークソングを歌ってきた。昨年夏、「FMはしもと」の一員として、橋本でこども狂言を取材中、狂言への興味が深まり、練習を重ねて出演させてもらうことに。「フォークソングとは全くちがう舞台で、とても緊張しましたが、皆さんが爆笑してくれたので、それが一番うれしかったです」と語った。
第2部は、大和座狂言事務所の安東伸元(あんどう・のぶもと)さんによる「講話」と日本の古典歌曲「狂言小唄」があり、安東さんが扇子でひざを叩きながら拍子をとって指導。全員で「ご子孫も繁盛、ご寿命も長く、生きの松の、千代かけて、御慶びの 神酒をいざや、勧めん。」をうたった。また、安東さんは「英語やフランス語、イタリア語で歌われるものをありがたく押し頂いて、自国の古典を鬱陶(うっとう)しいと決めつける事は、とりもなおさず自国の国語「日本語」を、自ら辱めている事につながるのではないでしょうか」と疑問を投げかけた。
同時に「西欧から西洋音楽が流入してきた時、名だたる詩人たちは心血を注いで日本語の歌詞を綴りました。それを考えるとき、今日巷(ちまた)に聞こえる言葉の軽さと気品のなさに驚きます」と指摘、古典の大切さを訴え、会場から共感の拍手が起きていた。
写真(上)は橋本市民狂言で初舞台の中野豊信さん=手前。写真(中)は「日本の古典を大切に」と講演する安東さん。写真(下)は初舞台を踏んだ大居さん=手前。


更新日:2015年2月2日 月曜日 00:00

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