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すてき!時広さんの舞台衣装~娘道成寺・披露楽しみ
海外でオールラウンド・アーティストと称される衣装デザイナーの時広真吾(ときひろ・しんご)さんがデザインした、舞台衣装を紹介する「美の種 衣装展」が、1月12、13両日、和歌山県九度山町九度山の「旧・萱野家(かやのけ)=大石順教尼(おおいし・じゅんきょうに)の記念館」で開かれた。6月には時広さんプロデュースの歌舞伎舞踊・娘道成寺(むすめどうじょうじ)など、「和歌山異聞 人の愛のものがたり~ある女人の回想~」を開催。萱野正巳(かやの・まさみ)館長は「こんなに素敵な衣装をまとっての舞踊や音楽は、今から大いに楽しみです」と語った。
出展されたのは舞台衣装4点とアクセサリー10点。とくに舞台衣装は、日本古来の十二単(じゅうにひとえ)を思わせる雅(みやび)やかさでいっぱい。例えば、その材料に富士山や鳴門の渦潮など、全国津々浦々の名所風景をあしらった、明治時代の着物の帯を活用。さまざまな生地を、自然な形で縫い合わせて、まぶしいほど高貴な姿に仕上げている。
「旧・萱野家」は、両腕のない障害を克服し、口筆で書画を描いて「障害者の心の母」と慕われた、順教尼=本名・よね=1888~1968年)ゆかりの旧家で、順教尼の書画作品などを展示。
たまたま開催中の〝時広さんの衣装展〟に出くわした入館者は、和室に展示された〝平安絵巻〟のような衣装を見て、その絢爛(けんらん)さに驚き、時広さんの丁寧な説明を受けて大喜び。また、「かなさき流やまと舞」舞主(まいしゅ)やまとふみこさんは、「時広さんの舞台衣装は、この通り素敵です」と、少し装って披露。独特のしなやかさを漂わせていた。
時広さんは演出家、パフォーマー、詩人、写真家、プロデューサーとしても活躍。「美の種」とは、時広さんが2010年、衣装と各地にある才能を結びつけ、美空間を創り上げようと始めたプロジェクト。才能とは音楽、舞踊、演劇だけでなく、書や絵画、彫刻、陶芸など、あらゆる分野。
「和歌山異聞 人の愛のものがたり~ある女人の回想~」は、6月11日午後6時半から、和歌山市民会館小ホールで開催。一部は「和歌山そのものを一人の女に喩(たと)えて、ジャズ、クラシック、雅楽、邦楽などで、その魅力に迫る」、二部は「娘道成寺をベースに日本舞踊、オリエンタルダンス、バリ舞踊、語り、長唄、雅楽、篠笛とコラボしながら、新しい清姫伝説を創り上げる」としている。
写真(上)は舞台衣装を説明する時広さん。写真(中)は舞台衣装の素晴らしさを披露するやまとふみこさん。写真(下)は時広さんの舞台衣装とバリ舞踊の竹原やすこさん、オリエンタルダンスのEva香陽(えば・かよ)さん=写真(上、下)はフォトライター・北森久雄さん撮影。