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大地震、傷病者を救え!橋本市民病院で280人訓練
南海トラフを震源とする巨大地震が発生した際、スムーズな医療救護活動で、最大多数の傷病者を治療、社会復帰させようという、和歌山県内で最大規模級の「第9回橋本市災害医療フォーラム」が、10月25日、同県橋本市の橋本市民病院=山本勝廣(やまもと・かつひろ)院長=で行われた。
橋本市が主催、災害拠点病院の橋本市民病院が主管、橋本保健所が共催。医師や看護師、消防士、保健所員、自治会役員ら、計約280人が参加した。
午前は、山本院長が「最近は県内で大地震は起きていないが、広島では土砂災害、御嶽山では噴火災害があり、人命救助のためには、災害医療訓練を重ねる必要がある」と挨拶し、災害医療コーディネーターの嶋田浩介(しまだ・こうすけ)院長代理がオリエンテーションを行った。
実地演習は、紀伊半島沖でマグニチュード9・1の海溝型地震が発生。県内は震度7を観測し、沿岸部は大津波に襲われ、橋本市民病院に多数の傷病者が搬送されているという想定。
和歌山県立看護学院の学生たちが、頭部打撲や骨盤骨折などの〝模擬傷病者〟となり、山崩れや家屋倒壊などの災害現場から、救急車やリヤカーなとで救護所に搬送。医師は素早く傷病程度の順位を判断、傷病者を振り分けて、救護所では呼吸、血圧、脈拍などを調べ、看護師とともに手術や酸素投与、点滴などの手当てを施した。
訓練の後、各部署リーダーが「ヘリポートなど遠方へ傷病者を搬送する場合、トランシーバーなどが必要と感じた」「だれが看護師か事務職かわからず戸惑った」「院内の廊下が狭くてストレッチャー移動に苦心した」など、さまざまな反省点を報告。
看護学院生からは、災害訓練の中とはいえ、「何度も〝大丈夫ですか〟と声かけしてくれたのでうれしかった。災害被害者の気持ちがわかったので、将来の学びとしたい」と話した。また、傷病者として迫真の演技をみせた、男女2人の看護院生が、〝訓練に貢献した〟として表彰された。
嶋田・院長代理は「いずれも貴重な体験、意見であり、次回に生かしたい」と答え、山本院長は「これからも行政、保健所、消防署、自治会、医療機関などが連携して、万が一の災害に対し、万全の体制を整えていきたい」と語った。
写真(上)は次々と救護所に搬送される傷病者と現場のあわただしい雰囲気。写真(中)は救護所で傷病者の負傷部位・程度を判断する嶋田・院長代理。写真(下)は救護所から病院へ運ばれる傷病者。