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恋野の〝田焼き〟秋景色~雨雲接近で大忙し
日本の〝焼畑農業〟とは違う、いわば〝恋野の田焼き風景〟が、今年も9月24日、和歌山県橋本市恋野地区の苅田で見られ、進みゆく秋の風情を感じさせている。
恋野地区は、奈良時代の女性ヒロイン・中将姫が隠れ住んだ伝説の舞台であるとともに、気候風土が稲作に適していて、おいしい「恋野米」が穫れることでも知られている。
今年は実りの秋の9月22日、豊年満作の稲田にコンバインが入り、稲を刈り取りながら脱穀。苅田一面に、細かく刻まれた稲わらを残した。24日には、その稲わらに点火。稲わらは白煙をくゆらせながら、じわりじわりと燃え広がり、やがて苅田は丸焦げに…。
金剛山や三石山を見晴らす、約2000平方メートルの田焼き作業に挑む、ある農家の主婦は、「台風の影響で、もうすぐ大雨の恐れがあるという。あわてて田を焼いています」と、くすぶる白煙を眺めて、一息ついていた。
たまたま近くで自然農法を営む中山隆士(なかやま・たかし)さんは、「この地方での〝田焼き〟は、害虫や細菌駆除のために行われ、見慣れた秋景色となっています」と、その風景に目を細めながらも、「私の場合は〝田焼き〟をせず、苅田の土を耕して、微生物により土を発酵させ、自然のままの豊かな土で米、野菜をつくります」と説明。農業の舞台裏の一端を覗かせていた。
写真(上、中)は曼珠沙華の向こうにのぼる白煙と〝田焼き〟の作業風景。写真(下)は〝田焼き〟を終えた苅田の風景。
更新日:2014年9月25日 木曜日 00:00