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高野山案内犬〝ゴン〟映画・小説・マンガ化へ
世界遺産・高野山の山麓にある女人高野別格本山「慈尊院(じそんいん)」=安念清邦(あんねん・せいほう)住職、和歌山県九度山町=で飼われていた、今は亡き〝高野山の案内犬・ゴン〟の物語を映画や小説、マンガ・アニメに作品化する「ゴンと高野山体験」プロジェクト=相澤徹(あいざわ・とおる)代表=が発足し、7月28日、相澤代表とプランナーの白鳥順一(しらとり・じゅんいち)さんが橋本・伊都地方を訪れ、慈尊院や自治体など関係先にプロジェクトの趣旨説明を行った。
この話題の主人公・ゴンは、紀州犬と柴犬の雑種。1988年春、慈尊院に住みつき、高野山・金剛峯寺までの町石道(ちょういしみち)を、お遍路さんについていくうち道を覚え、やがて連日、大勢の参拝者を高野山まで先導。「お大師様の使いの名犬」として脚光を浴びた。
そのゴンも95年には体力が衰えて引退。02年6月5日には老衰のため同寺で永眠したが、今なお同寺境内に建つ〝ゴンの彫像〟に手を合わせ、〝ゴンの御守〟を買い求める人々は絶えない。
相澤代表は「ゴン物語」を社会に伝えようと、すでに脚本家の中西健二氏、プロデューサーの永井正夫氏ら4人が、脚本(準備稿)「ごん 光の案内犬」(仮題)を作成。今秋には映画化する計画だったが、制作環境条件が整わないため、残念ながら遅延。今年5月1日、相澤代表が社長を務める株式会社フィルムクレッセントと、一般社団法人・国際マンガ協会が主催、公益財団法人・日本補助犬協会・ワンダフル合同会社が協力して、同プロジェクトを発足させ、新たに小説、マンガ化を加え、制作へ動き出した。
株式会社フィルムクレッセントは、「曼荼羅(まんだら)~若き日の弘法大師・空海~」や、がんと闘う「育子からの手紙」などの劇場映画、ドキュメンタリーなど30本以上の映画を制作。国際マンガ協会はマンガ家・アニメーターの育成支援、マンガ事業の国際展開。日本補助犬協会は盲導犬、聴導犬、介助犬の育成・訓練と、障害者への無償貸与を行い、ワンダフル合同会社は同協会のハウスエージェンシーとして活動している。
同プロジェクトによると、ゴンの映画は森川時久(もりかわ・ときひさ)監督、宮忠臣(みや・ただおみ)ドッグトレーナーと、和歌山県かつらぎ町出身の人気俳優・小林稔侍(こばやし・ねんじ)さんをはじめ、山口果林(やまぐち・かりん)さん、益岡徹(ますおか・とおる)さん、霧島ココ(きりしま・ここ)さんらの出演を計画。ゴンの小説は夢枕獏(ゆめまくら・ばく)さん、ゴンのマンガは谷口ジロー(たにぐち・じろー)さんの執筆を予定。収益の一部は、日本補助犬協会など福祉団体の事業に寄付することにしている。
一方、同プロジェクトは、とくに都心部の人たちに「高野山体験」の提供を企画。高野山訪問の方法や森林セラピー、全国88か所お遍路体験、大都会での高野山カフェ、お坊さんとの会話、プチ修行、精進料理の食事などを計画している。
さらに9月頃には、ウエブサイト「地域からの知恵に学ぶ」(仮称)を立ち上げ、同プロジェクトの趣旨、内容、事業の進捗(しんちょく)状況などを、写真・文で説明するとともに、高野山周辺地域で頑張る人々や企業、福祉施設などの情報を発信することにしている。
平成27年は、高野山で弘法大師・空海の高野山開創1200年大法会がが営まれる。相澤代表は「できれば今秋から、名産・九度山の富有柿など秋、冬、春の自然を背景に、かわいいゴンの物語を映画化し、来秋の放映を目指したい」と張り切っている。
写真(上)は「ゴンと高野山体験」プロジェクトの相澤代表=右=と白鳥プランナー=。写真(中)は「ゴンと高野山体験」プロジェクトの内容説明の一部。写真(下)は昨年秋に慈尊院を訪れた相澤代表ら一行と安念清邦住職。