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認知症と口腔ケア…松本一生院長、橋本で初講演

認知症専門の精神神経医として名高い「松本診療所ものわすれクリニック」の松本一生(まつもと・いっしょう)院長が、和歌山県橋本市隅田町下兵庫1407の2、地域密着型特定施設・ディサービス「みとうの里」で、「認知症と口腔ケアについて」をテーマに講演し、看護師や介護士、一般市民ら約100人が、患者や家族の健康を守る「貴重な知識」を身につけた。

松本院長は、高齢者の精神医療、介護家族の心のケア、日本老年精神医学会指導医で、大阪市立大学大学院・生活科学研究科の客員教授。

松本院長は「みとうの里」1階ホールで、全員に資料を配布して講演。「認知症の方のうち、3割の方が認知症の自覚がなく、自らケアを拒みます。それでも地域の人々が支えることが大切」と説明。また「認知症の方は、食べ物を間違って肺に吸い込んでしまうことが多い」と指摘。「口中には10数種類の雑菌がいて、これを吸い込むと、抵抗力も弱っているため、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)で亡くなる方が多い」と説明。「これを防ぐには、食事の時はもちろん、食事と食事の間も、十分に注意を払い、歯磨きの励行、ガーゼで口内をぬぐうことなどが大切」と指摘。さらに「咬合(こうごう=かみ合わせ)が重要で、歯がなければ、入れ歯を使うこと。しっかり咬合することで、認知症の症状を遅らせることができる」と力説した。

また、認知症の薬物療法について、「その薬には、あくまでも認知症の進行を遅らせる薬と、症状を抑える薬に大別される。薬の使用は、適切な量と、適切な時間を選ぶこと。薬の数が多い時は、それを少なく整理(ドクターにも説明)することが大切」と強調。地域包括ケアのため歯科に期待することとして、「精神面の症状は口腔領域に出やすいので、歯科は認知症の早期発見の大きな力」と説明。「地域包括ケアは、歯科衛生士と協力すれば、誤嚥性肺炎や消化力の低下、安易な胃ろうの設置、全身の衰弱を防ぐことができる」と話した。

「みとうの里」(鉄筋3階建て・29床=電話0736・34・0404)は、平成25年11月、大阪市住吉区長居東、みとうメディカル株式会社=倉岡多(くらおか・まさる)社長=が設立・オープン。大平恵理(おおひら・えり)生活相談員(介護福祉士)は「大阪では松本先生に定期的に講演していただいていますが、橋本での講演は初めてです。皆さんに認知症の方の口腔ケアの大切さを知ってもらえたし、私たち施設職員も頑張ります」と力強く話した。

写真(上、中)は「みとうの里」で講演する松本院長。写真(下)は地域密着型特定施設・デイサービス「みとうの里」


更新日:2014年6月1日 日曜日 00:00

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