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大災害でも一安心~溜池9つ護岸完成~橋本・恋野区

大震災が懸念される紀伊半島で、決壊の危険性のある溜池の防災工事が進められているが、和歌山県橋本市恋野区の計9か所の溜池は、4月14日までにすべて防災工事を完了した。区内全部の溜池工事の完了は珍しく、辻本賢三区長は「これで一安心です。今秋、総合竣工式を開きたい」と言っている。
恋野区は紀の川南側の丘陵地で、約230世帯700人が生活。奈良時代の女性史のヒロイン中将姫ゆかりの里でもある。池は江戸時代に築造された周囲約1キロの似賀尾池(にがおいけ)をはじめ、本田池(ほんでんいけ)、新池(しんいけ)、躑躅尾(つつじおいけ)、尾崎池(おざきいけ)、細川池(ほそかわいけ)、円津庵池(えんづあんいけ)、真砂池(まなごいけ)、神野池(こうのいけ)がある。
また、1枚1枚の水田の面積に応じて、溜池から水田に適量の水を流す、全国的にも珍しい「分水戸(ぶんすいこ)」が残っていて、9か所の溜池は「分水戸」を通じて、区内約30ヘクタールの水田を潤している。
恋野区では広大な田畑の圃場(ほじょう)整備が行われた後、豪雨の際には、水の流れも変化。とくに大水害の際は、溜池が決壊する危険性もある。このため同区は県、市に対し、堤防補強工事を要望、平成16年度から工事に着手していた。
今では、溜池は石積みの強固な護岸、木製の樋門は金属製のハンドル回しに改良され、池底のしゅんせつ作業もすべて終えた。これに伴い、周辺に散策道の取り付けや、紫陽花(あじさい)の植栽なども進められた。中将姫ゆかりの里は、防災に強い観光地に生まれ変わっている。
辻本区長は「例えば仮に、区内最大の似賀尾池が決壊したとすると、洪水は丘陵地の下の恋野小学校を襲います。風水害が年々増え、巨大地震が叫ばれる中、溜池の防災工事が完了できて、ほっとしています」と喜びを語り、「できれば11月頃、当区最大の似賀尾池近くの広場で、総合竣工式を開きたいと思います」と話した。
写真(上)は防災工事が施された恋野区最大の似賀尾池。写真(中)は石積みで強固な護岸ができた似賀尾池の堤防。写真(下)は補強工事が施され、周辺には散策道や紫陽花の里がある本田池。


更新日:2014年4月15日 火曜日 00:01

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