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岡潔博士・記念館の建設決定~市議会委託予算可決

世界的な数学者で文化勲章受章者・岡潔(おか・きよし)博士(1901~78)の〝顕彰記念館〟が、岡博士の故郷、和歌山県橋本市の杉村公園に建設されることが決定した。市議会最終日の3月6日、顕彰記念館・委託料(基本設計)予算399万8000円が可決され、2018年開館を目指して、建設されることになった。
岡博士は大阪市生まれだが、4歳の時から父の実家、紀見村(現・橋本市)に居住。京都帝国大学を卒業後、多変数関数論に出会い、「世界の数学者が1問解くのに100年かかる」と言われた「世界の三大難問」を1人で解決した天才。また、「春宵十話」などの数々の著書を表し、「日本人の情を大切に」と強調した卓越した哲学者でもある。1960年に文化勲章を受賞、61年に橋本市名誉市民になった。
橋本市企画部企画経営室の話によると、顕彰記念館は杉村公園内の松林荘(しょうりんそう)北側に建設。ここは4月開通予定の国道371号バイパス(京奈和自動車道・橋本インター~同市三石台)に隣接していることから、記念館を中心にした「道の駅」のような観光拠点にする構想。記念館わきには観光案内所、トイレ、多目的広場などを建設し、観光バス約5台、乗用車なら約50台収容の駐車場を設けたい考えだ。
岡博士の旧宅は、旧・高野街道沿いの閑静な山上にあった築約100年の木造平屋で、約80平方メートルの、こじんまりとしたたたずまい。旧宅が所有者の事情により、2001年9月に撤去される際、当時の北村翼(よく)市長が、橋本ユネスコ協会や地元市議の要望に応え、解体後の梁(はり)や鴨居(かもい)などの建築資材は現在、橋本市河南別館倉庫に保存されていて、記念館に活用することになる。
同市内では、長らく岡博士の〝旧宅・復元話〟が途絶えていたが、2009年、岡博士の偉業を讃え、数学教育を進める「橋本市岡潔数学WAVE」が設立され、記念館の建設が求められていた。建設費は数千万円規模になる見込みで、同市は「橋本市岡潔顕彰基金」を創設、全国から募った資金と、国の補助金を充てる方針。
木下善之市長は「記念館には、岡博士の著書や愛用品、写真などを展示。できれば〝寺小屋〟のような建物も併設したい。全国の数学ファンや観光客が立ち寄り、数学好きな子供たちが増えてほしい」と語った。
「橋本市岡潔数学WAVE」理事の奥村浩章(ひろあき)さんは「岡博士が数学に卓越していたことは誰しも認めることですが、それよりも大事なことは、日本人の情緒を重んじた岡博士の哲学ではないでしょうか。全国から岡博士の手書き原稿など、膨大な資料が集まっているので、それを保存展示する場所ができることは、うれしい限りです」と語った。
写真(上)は佐藤律子さん著の伝記絵本「岡潔博士ってだぁーれ」の絵=地面に数学の問題を書く少年・岡博士。写真(中)は左が杉村公園の松林荘、右が建設中の国道371号バイパス=その向こう側に顕彰記念館を建設。写真(下)は橋本市役所に建設されている岡博士の顕彰記念碑。


更新日:2014年3月7日 金曜日 01:06

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