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新酒ああうまい~酒蔵(文化財)見学会~初桜酒造

日本酒「高野山 般若湯(はんにゃとう)」を醸造する、和歌山県かつらぎ町中飯降85、初桜酒造(はつざくらしゅぞう)株式会社=笠勝清人(かさかつ・きよと)社長=で、2月9日、国の登録文化財「酒蔵」の見学会が開かれた。同地方や近府県から計約30人の日本酒ファンらが訪れ、笠勝社長や但馬杜氏(たじまとうじ)の案内で、酒蔵を見て回り、醸造過程の説明を受けたり、今年初めての搾りたての新酒を味わったりした。2月16日(日)にも同見学会がある。見学無料。
同社は1866年(慶応2)に高野山麓を流れる紀の川畔に創業。高野山は〝女人禁制〟であると同時に〝飲酒禁制〟でもあったが、弘法大師は「塩酒一盃(おんしゅいっぱい)これを許す」と、酒の効用を認め、山上では酒を〝般若湯〟と呼んで愛飲。酒蔵近くには紀の川が流れており、昔は酒樽(さかだる)を渡し舟で対岸に運び、さらに馬の背に乗せて、山麓から山上まで運んでいたという。
同社は、弘法大師が高野山開創の際、神領を借りるなど世話になった丹生都比売(にうつひめ)神社のある同町天野の、名産〝天野米(あまのまい)〟と和泉山脈の伏流水を使用。笠勝社長と但馬杜氏が純米、純米吟醸酒を造り、橋本・伊都地方や大阪、東京へ出荷している。
日本酒は、白米を蒸して麹(こうじ)を造り、この麹で蒸し米を糖化しながら、酵母を培養し、酒母をつくる。これを仕込んで、もろみを仕立て,並行複発酵法(へいこうふくはっこうほう)で、高いアルコール分のもろみを造り、これを搾って出来上がる。
この日、笠勝社長と但馬杜氏は、見学者を午前と午後の2回に分けて、棟(むね)も梁(はり)も柱も、歴史的な重みを感じさせる酒蔵を案内。米と水を浸す〝浸漬場(しんせきば)〟や、米と麹(こうじ)で酒母をつくる〝酒母場(しゅぼば)〟、蒸し米を寝かせる〝麹室(こうじむろ)〟、昔、使っていた〝蒸し釜(かま)〟などについて、丁寧に説明していた。
見学のあと、「高野山 般若湯」と染め抜いた、紺のハッピ姿の従業員らが、搾りたての新酒をコップについで、見学者に〝利き酒〟をしてもらう。市内の三石台から、家族連れで訪れた清酒ファンの男性は「あっさりして、こくがあります」とにっこり。笠勝社長は「今年は但馬杜氏が交代、ふたたび経験豊富な杜氏が、丹精込めて造った新酒です。おいしいですよ」と自慢していた。
紀ノ川の上流の同地方の酒は、昔は「川上酒」と呼ばれ、大正から昭和初期にかけて、33軒の酒蔵があった。〝灘・伏見〟が酒どころとして脚光を浴びる一方、酒の量産が進むにつれて、〝川上酒〟の廃業が相次ぎ、今では同社1軒のみとなっている。
酒蔵見学会は、2月16日にも、午前10時からと午後2時からの2回開かれる。定員はいずれも40人で、見学は無料。申し込み・問い合わせは同社(0736・22・0005)へ。
写真(上、下)は、国の登録文化財の「酒蔵見学」に参加した人々と醸造課程を説明する笠勝社長。写真(中)は〝利き酒〟をする父に抱かれて可愛いポーズを見せる女の子。


更新日:2014年2月10日 月曜日 00:02

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