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〝ムベの実〟〝渡し舟の絵〟…コーヒータイム楽しく

和歌山県橋本市恋野のカフェギャラリー「藪椿(やぶつばき)」(新田綾子さん経営)のレジ・カウンターに、珍しいムベ(郁子)や柑橘(かんきつ)類、壁には郷土の洋画家・湊実雄(みなと・じつお)さん(1893~1975)の「紀の川」の絵が飾られ、来店客に自然豊かな橋本の雰囲気を披露している。
カウンターに飾られたムベは、アケビ(通草)の一種で、今は紫色に熟し、濃い緑の葉をつけている。このほか品種名を不知火(しらぬい)というデコポンや、ザボンの一種である内紫(うちむらさき)、直径約15センチもあるブンタン(文旦)、実が3年ほど落ちず青、黄、青を代々繰り返すダイダイ(橙)なども置いている。
これは和歌山県自然保護監視員で医師の田中治さん(89)が、自宅庭で〝葉付きのムベ〟を採り、「藪椿」近くの道沿いで柑橘類を採って、ゆかり深い「藪椿」の新田さんに、「かわいいでしょう」とプレゼントした。
また、壁に飾られた「紀の川」の絵は、湊さんが1961年、紀の川・岸上橋の下流域から描いた作品で、川岸に3隻の渡し舟がつながれ、川面には雨引山(あまびきやま)の山影が映っている50数年前の光景。
JR和歌山線・紀伊山田駅の近くに住む、ある年配客は「私が子供のころは、紀伊山田駅がなく、電車にのるには、橋本駅か高野口駅、学文路駅から。私は一番便利な紀の川の渡し舟を使い、学文路駅から電車に乗りました」と、懐かしそうに話した。
「藪椿」は、日本建築の古い家を改装した店舗。周辺には柿の木や菜園があり、庭には四季の鉢植え、店内には無農薬の野菜や果物が並び、とくに大阪などの都市部から訪れる人たちが、ゆったりした時間を過ごしている。
新田さんは「田中先生から頂いたムベや柑橘類も、私の家の倉庫に眠っている絵も、やはり、みなさんに見ていただくのが一番よろしいかと…」と、にっこり話した。
写真(上)は「藪椿」レジ・カウンターに置かれたムベや柑橘類。写真(中)は壁に掲げられた湊さんの洋画「紀の川」。写真(下)はムベや柑橘で甘い香りがする「藪椿」のカウンター。


更新日:2014年2月1日 土曜日 01:15

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