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少年たむろ!壁壊し造花盗む…ゆかいな図書館

図書寄贈など全国の人々の善意で成り立っている和歌山県橋本市のJR・橋本駅にある「ゆかいな図書館」で、約10人の少年が夜間、約2時間もたむろし、飾っていた匿名寄贈の造花の花籠(はなかご)が盗まれたり、壁やシャッターが壊されたりした。同図書館の世話人会代表・阪口繁昭さんは、橋本署・橋本駅前交番所に警戒を頼むとともに、「善意で成り立つ図書館での、少年たちの横暴は、残念でならない。教育関係者には、とくに指導を徹底してほしい」と訴えている。
世話人会の話によると、11月25日頃の午後7時から同9時頃までの間、10代前半の少年たち約10人が図書館にたむろ。市民の寄贈の座布団数枚を、椅子から床に下ろし、善意の図書が並ぶ本棚にもたれて大騒ぎ。出入り口のシャッターは壊す、板壁に拳(こぶし)大の穴を開ける、壁の化粧紙を剥ぎ裂く、そのうえ本棚に飾られていた匿名寄贈の〝造花の花籠〟を盗むという傍若無人ぶり。
普段、寒さの厳しい冬は、乗降客が暖房の効いた同図書館で、読書しながら電車の時間待ちをしているが、この夜は、少年たちによる〝図書館の占拠状態〟で、誰一人として入れない険悪な雰囲気だったという。
世話人会の人たちの見回りで、少年たちはとりあえず立ち去ったが、その後の図書館内は、無残なありさまになっていて、会員たちはこれ以上、壁の化粧紙を剥がされないよう、糊(のり)付けしたり、壁の穴を合成カバーでふさいだり…。
阪口さんは、さっそくJR橋本駅や橋本駅前交番所、教育関係者に対し、非行の顛末(てんまつ)を報告。図書館が少年非行の温床にならないように、それぞれの立場での協力を依頼した。また、図書館の入り口には「警告! 長時間の居座り、大声で騒ぐ、多人数でのたむろ、ごみのポイ捨て、喫煙を禁止する」「発見した場合は即、警察等に通報します」という、これまでにない厳しい文の張り紙をした。
ゆかいな図書館は平成10年(1998)、駅の待合室を改造して開設した。当時、待合室が〝隠れ喫煙〟など、少年非行の温床となっていたため、橋本市教委や市議会が「ぜひ図書館にしてほしい」と要望。JRは検討のすえ、「駅前清掃など奉仕活動している地元有志が管理・運営に当たってくれるのなら」という条件付きで承諾した。
市教委から依頼を受けた阪口さんらは、さっそく図書館・世話人会を結成。図書館の運営方針を「図書の持ち出しは自由で、読み終えたら自主的に返却してもらう。モラルとセルフをモットーとする受付のない図書館」とした。
平成23年3月1日には、駅のバリアフリー化工事に伴い、改札口の内側にあった図書館を、改札口外側の通路わきに移設した。
さすがに返却されない図書も多いが、それでも図書は全国から寄贈が相次ぎ、JRも乗降客のために館内の冷暖房、放送設備を完備。座布団や時計、花籠などは匿名の寄贈があり、歳末の館内清掃や図書整理は、県立橋本高校の生徒会が手伝うなど、「小さいながらも、ほのぼのした図書館」として、大勢の乗降客から愛されてきた。
阪口さんは「少年たちは、この図書館が、どれほど人々にとって大切な場所であるか、誰からも教えられていないのではないか。一日も早く、非行から立ち直り、たとえ一冊の本でもいいから、静かに読んでくれる少年になってほしい」と願っていた。
写真(上)は「ここから造花の花籠が盗まれた」と言う阪口さん。写真(中)は美しい壁の化粧紙が無残に剥がされた部分。写真(下)は図書館入り口に張られた「警告」表示。

更新日:2013年12月1日 日曜日 20:40

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