ニュース & 話題

人工乳房に保険適用~和歌山県初、紀和病院~

乳がん患者の「乳房の全切除&人工の乳房再建」手術に対し、公的医療保険が適用される医療機関として、和歌山県橋本市岸上18の2にある医療法人南労会紀和病院「紀和ブレスト(乳腺)センター」が、和歌山県内で初めて厚労省近畿厚労局和歌山事務所と日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会から認可を受けた。同センターは10月15日、〝公的医療保険の適用病院〟となったことを発表するとともに「今後、患者さんの費用は大幅に減少し、人工乳房で女性美の喪失感も解消されることになります」と言っている。
同ブレスセンターによると、厚労大臣の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)が、今年7月から、乳がんの全摘手術後に使う人工乳房に公的医療保険の適用を了承。
同ブレストセンターが10月11日、同保険適用病院に認定され、同15日、書面で認可通知を受けた。これにより、これまで全額自己負担(約100万円)だったのが、原則3割の窓口負担で済むうえ、高額医療制度も利用できることになる。
同ブレストセンターで平成24年1月~12月の1年間、乳がん手術を受けた患者数は44人で、そのうち全切除者数は21人。女性の象徴・乳房を失う全切除による精神的痛手は大きく、よりよい社会生活に戻れることを目指して「乳房再建」が行われている。
その方法として、自分の筋肉や脂肪組織を使ったり、人工物(シリコン)を使ったりしているが、これまでは人工物による再建は、公的医療保険の適用外で、乳がん手術と同時に乳房再建を行う場合も、混合診療が認められていなかった。このため乳がん手術・乳房再建費用、それにかかる入院、検査など、すべて患者の自己負担となっていた。
今回、公的医療保険の適用が認められた人工乳房は、アラガン・Jジャパン社(東京)の丸型のみに限定されていて、同ブレスセンターはその実物サンプルを用意。「乳房再建で喪失感が解消され、補正パット不要で一般下着が使用できるし、パートナーと自然に接し、子供たちと入浴できるようになる」と説明している。
同ブレストセンターの〝乳がんいのちプロジェクト〟代表・梅村定司医師は「私たちは積極的に認可を申請し、早々に認可されてうれしい。高額な費用が理由で、乳房再建をためらっている人や、乳房切除を余儀なくされる人には、乳房を取り戻せる福音かと思います」と話している。
〝乳がんいのちプロジェクト〟は「乳がん患者の心の支えになるように」と、高野山・金剛峯寺と協力して、高野山キャラクター「ピンクリボンこうやくん」を制作したり、慈尊院(九度山町)と協力して〝特大おっぱい絵馬奉納&乳がんお守り〟を制作したりするなど、幅広く活動している。
問い合わせは紀和ブレストセンター(代表電話0736・33・5000)事務局・大谷さん。
写真(上)は紀和ブレストセンターの梅村医師や看護師=同センター診療所で。写真(中)は人工乳房に保険適用の認可を受けた紀和病院の紀和ブレストセンター。写真(下)は患者の心を支える高野山キャラクター「ピンクリボンこうやくん」。


更新日:2013年10月15日 火曜日 09:42

関連記事

ページの先頭に戻る

  • 標準
  • 大
  • RSS
  • サイトマップ

検索

過去の記事