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高野山は〝美術館〟ハッピー♪個性豊かな作品
弘法大師・空海が開創した和歌山県高野町の霊峰・高野山を〝美術館〟と見立てた現代アート展「ハッピーメイカー in高野山2013」が、7月5日(金)〜同7日(日)、山内の寺院4か所で開かれる。主催者の実行委員会は「高野山の魅力と表現者のHappyのカタチを感じてください」と来場を呼び掛けている。
和歌山県や高野町、同町教委、南海電鉄、高野山観光協会・宿坊組合、テレビ和歌山などが後援。「ハッピーメイカー」は〝町歩き〟をしながら、いろんなジャンルの作品を巡るアートプロジェクトで、今年で4回目の開催となる。
表現者の皆さんと表現場所は、AWAYA(インスタレーション、=恵光院)、古賀絵里子(写真=南院・梵恩舎)、滝山隆心(現代舞踊=恵光院)、土持悠孝(音楽=南院)、秦忍(インスタレーション=龍泉院・泰雲院)、三星善業(陶芸=南院)、和田直樹(陶芸=恵光院)、特別展の志村ふくみ・洋子(染色=南院)、都機の会(染色=南院)など。
その内容は、例えば、秦さんのインスタレーション「風色〜カザイロ」を観ると、長さ約2メートルの四角い木枠の中に、色づけした様々な形の薄板が吊るされ、風に揺れる。七夕飾りのようでもあり、切子灯籠(きりこどうろう)のようでもあり…。
別の作品「ヒトヒト」は、縦約40センチ、横約15センチの薄板を丸く曲げてつなぎ、その中央に木製の玉(直径約3センチ)を置いた〝起き上がりこぶし〟状のもの。風に吹かれると、倒れたり起き上がったり、まさに人生の厳しさ。材料は高野町富貴の梶谷木工所・制作の薄板を活用した。
秦さんは「薄板の木目の美しさや、緑豊かな庭園を背景に、薄板がぶら下がり、風に揺れる日本的な情緒。心静かに見ていただければ」と話した。
古賀さんの写真展は、高野山の自然や人々の暮らし、伝統行事などを撮影した約40点を出展。古賀さんは平成19年(2009年)に初出展した際、霊峰・高野山に魅了され、翌年、高野山にアパートを借り、毎月1週間ぐらいの割合で、東京から高野山を訪れ生活。今年の正月料理をいただく大家さんの姿など、山内の感動場面を撮り続けてきた。古賀さんは「友人がいっぱいできました。今は、高野山とは、自然と宗教と人々、全部含めて高野山だと思っています」と明るく笑う。
和田さんは、地質の異なる紀伊半島の約3000種類の土を収集。それを工夫しながら混ぜた土や、それでつくった釉薬(ゆうやく)を使って、茶碗や板皿などを製作。今回、寺院の仙人の襖絵の前などに約40点を出展した。和田さんは1年間、陶芸家の三星善業さんに師事、基礎修業させてもらった後、寺院や福祉施設などで配膳や掃除などをしてアルバイト。その貯金で昨年7月、高野山に窯を築造し、そこで焼いた作品を初出展した。「とても陶芸作品と言えるようなものではありません」と謙虚に話し、「紀伊半島のいろんな土で、どうすればいい作品ができるか、真剣に取り組んでいます。気軽にご覧ください」と言っている。
ハッピーメイカーの開場時間は午前10時〜午後5時(入場は閉館30分前まで)。入場料は会期中有効フリーパス大人300円(高校生以下は無料)。各会場で販売する。
また、作品展示のほかにも「こうや紙の紙漉きワークショップ」(同6日、成慶院、料金300円)や「自然素材のモビール作り」(同5日、同7日、泰雲院、料金子ども500円、大人1000円)、「平原窯の日々トーク〜和田直樹の陶芸家になるまでの奮闘記〜」(同5日、同6日、恵光院、料金無料、但しフリーパス券必要)、「古賀絵里子トーク〜高野山の魅力について〜」(7日、梵恩舎、料金1000円=お茶、お菓子付き)などがある。
同実行委員会では「高野山のまちなかを歩き回り、アーティストや地元の人たちとふれあい、素晴らしい時間を過ごしてほしい」とPRしている。
写真(上)は「Happy maker in高野山 2013」で秦さんの作品「風色〜カザイロ」。写真(中)はバチさばきで模様ができた太鼓の写真と撮影家・古賀さん。写真(下)は仙人の襖絵の前に飾られた和田さんの陶芸作品。