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一本の桜(旧国保病院跡)残したい~橋本市長言明
和歌山県橋本・伊都地方の桜は、ほとんど満開の峠を越して、4月5日には、花吹雪の光景を呈している。きょうはその中で、伐採されずにすむことになった旧・国保橋本市民病院跡の〝一本の桜〟、今年も花の宴を盛り上げた〝杉村公園の桜〟、葉桜の〝桜まつり〝となりそうな〝庚申山(こうしんさん)の桜〟。それら桜3題に照準を合わせてみた。
〝一本の桜〟は今年1月に新築オープンした橋本市保健福祉センター(同市東家)の南にある。幹の直径約40センチ、高さ約10メートル、枝張り約8メートル。なかなか樹勢がよく、今年も無数の花びらで幹枝をおおい、往来する人々の心を和ませた。
この桜は、昭和46年(1971)頃、国保橋本市民病院が新築開院した際、その玄関前に植えられた。そして、出入りする多くの患者、家族の悲喜こもごもの、その心のそばで生きてきた命でもある。
同病院は平成16年(2004)、橋本市民病院として、同市小峰台に新築移転し、旧病院の建物のほとんどは撤去されたが、〝一本の桜〟は今もその跡地に、ぽつんと残されている。
木下善之市長は「この周辺では、市役所前の桜と、この病院跡の桜が市民によく知られていますが、市街地での桜の数はとても少ないです。その中で、とくにこの一本の桜は、市民の皆さんに親しまれてきたけ歴史的な桜。近い将来には、一部残っている旧国保市民病院の建物を撤去して、すべて駐車場にしますが、この桜だけは、必ず残すことにしています」と、きっぱり言明した。
一方、杉村公園(同市御幸辻)の桜は、すでに3月31日の日曜日、松くい虫で枯死し、伐採された多くの松とは対照的に、瑞々しく全山満開となった。昼間は日差しも暖かく、公園内ではビニールシートを敷き、弁当をひろげて、花の宴を催したり、家族連れらが昼食の後、キャッチボールを楽しんだり。例年より一足早い春を謳歌していた。
ところが、桜の名所〝庚申山〟(同市高野口町)では現在、すでに花の盛りを過ぎて、全山花吹雪の状態。すでに庚申山では4月7日(日)に「第6回橋本市高野口公園桜まつり」(同実行委主催)を予定しているが、その前日(土)から本番(日)当日にかけて、紀北地方でも雨風の荒天模様で、祭典会場は仕方なく橋本市高野口町の橋本市産業文化会館(アザレアホール)へ移すことになりそう。
〝橋本ちんどん笑会〟の上田良治会長(橋本市議)は「たとえ葉桜の下でも、素人集団〝チンドン屋〟は、元気よく練り歩きますが、荒天の場合は、屋内でやるしかありません。しかし、どこであろうと、賑やかに、楽しく盛り上げますよ」と話した。
写真(上)は旧国保橋本市民病院跡の一本の桜と、それを「残したい」と見上げる木下橋本市長。写真(中)は杉村公園で春らんまんの花の宴を張り、談笑する人たち。写真(下)は満開の峠を過ぎた庚申山の桜。