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大正の大時計〝復活〟恋野小玄関~池永さん修理
大正時代の大時計の振り子が再び動き出したーー。和歌山県橋本市恋野の市立恋野小学校の玄関。ゼンマイの壊れた大時計が、県立紀北工業高校の元教諭・池永恵司さんの手で無事修理され、卒業式を控えた3月15日、玄関に掛けられた。今春、定年退職する宮井利明校長は「復活した大時計を引き継ぐことができる」と感謝。児童らはレトロな大時計の〝復活〟に大喜びだった。
この大時計は高さ約1・20メートル、文字盤の直径約50センチの木製で、美しい花柄模様入り。〝地球に馬〟のマークがあることから、大正時代の愛知県の「尾張時計」らしい。
同小学校に残る昭和37年(1962)8月12日撮影の「恋野小学校プール竣工式」の写真には、日の丸の旗や万国旗に飾られた旧校舎講堂の壁に、この大きな柱時計が掛けられていたが、平成元年の校舎改築後は、新校舎の陳列棚に収納されたままになっていた。同校に赴任した宮井校長がこれに気づき平成23年(2011)、知り合いの時計店に頼んで修理してもらったが、昨年春以降、再び故障していた。
これを知った地域ボランティア・阪口繁昭さんが今年1月下旬、壊れた玩具をなおす〝おもちゃドクター〟でもある池永さんに依頼。池永さんが自宅で、約2か月がかりで修理に成功。この日、阪口さんとともに軽トラックで搬送し、同小学校の玄関に掛けた。
池永さんは「故障の原因は、ゼンマイ仕掛けの〝ガンギ車〟が磨り減って空回りするためで、時計の針は、1時間に10分も進む結果を招いた。〝ガンギ車〟のかみ合わせ修復に苦心しましたが、もう大丈夫です」とにっこり。宮井校長は「すぐそこに退職を控えて、大時計の故障は、とても気がかりでしたが、これで心置きなく、締めくくりができます」喜んでいた。
写真(上)は振り子が動き出したレトロな大時計に大喜びの恋野小学校の児童たち。写真(中)は昭和37年のプール竣工式が開かれた旧校舎講堂の壁に掲げられている大正時代の大時計。写真(下)は大時計を修理した池永さん(右)と大時計を受け取る宮井校長(左)。