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手作り座布団寄贈20年…高野口駅へ清水さん80
和歌山県橋本市高野口町名倉1087の清水禎子さん(80)は、このほど地元のJR和歌山線・高野口駅(無人)に、手作り座布団18枚を贈った。この〝座布団奉仕〟は約20年続けられ、とくに冬場は乗降客から「この座布団は美しいし、とても暖かい」と喜ばれている。
座布団のうち9枚は、自分より年上の友達からもらった着物の生地を使い、ピンクの帯で飾りをつけた。あとの9枚は市販の生地で間に合わせ、せっせと縫い上げたという。
この日は、朝から激しい雨が降ったが、清水さんは天気予報を聞いたうえ、前日に高野口駅前の友人宅に座布団を預けて、この日、ビニール袋に包んで運び込み、一枚一枚、待合室やプラットホームの椅子に敷いた。
乗降客らは、細かい花柄の新しい座布団に座り、「冷え症だけど、これなら大丈夫」と喜んでいた。
清水さんは約30年前、人権委員として全国に出向いた際、いろんな国鉄駅(当時)や私鉄駅で、座布団のある駅、清掃の行き届いた駅、生け花を飾った駅など、気持ちの良い駅を見てきた。
約20年前、高野口駅も「素敵な駅にしたい」と思い、自分の着物をほどいて綿を入れ、手縫い座布団を駅に贈った。以来、毎年春と冬初めに、駅舎の座布団を新旧取り替え、これまでに贈った座布団総数は約400枚にのぼる。
同町は全国一の織物の町。着物地がない場合、座布団の材料には、パイル織物やシール、サテンなどの〝在庫処分物〟を買い込んで使用。その購入費は、パーマ代、化粧品代を節約して、捻出しているという。
清水さんは、座布団寄贈のほか、同駅の花壇の水やりや、清掃奉仕も実践していて、「お陰さまで、医者知らず、薬知らず。人様に喜んでいただこうと、働いていると、なかなかどっこい。風邪も引きません」と明るく笑った。
写真(上)は高野口駅の待合所に座布団を敷く清水さん。写真(中)は高野口駅に手作り座布団を運ぶ清水さん。写真(下)は高野口駅の待合所に座布団を敷き終えた清水さん。