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乳がん平癒お守り1000袋突破…慈尊院で販売
有吉佐和子さんの小説「紀ノ川」の舞台となった和歌山県九度山町の世界遺産・女人高野別格本山「慈尊院」で、5月から発売している全国でも珍しい「乳がん平癒守(へいゆもり)」の販売数が、すでに1000袋を突破した。安念清邦住職(68)は「全国各地から希望があり、闘病生活の大きな力になっているので、発売してよかったと思います」と言っている。
この「お守り」は西陣織で作られ、高さ5センチ、幅3・5センチと小ぶりで、乳がん撲滅の象徴であるピンク色。1袋500円(送料は別に80円)で販売。1000袋が売りれた後、今は追加制作した500袋の一部を置いている。
慈尊院と交流のある同県橋本市の紀和ブレスト(乳腺)センターが、昨年秋、乳がん撲滅を祈って、同院に「特大おっぱい絵馬」を奉納。さらに、最近は同院に乳房形の絵馬を奉納する乳がん患者が多いことから、慈尊院と同センターが、乳がん患者の会の意見を取り入れたうえで、「お守り」を制作したという。
同院は弘法大師・空海の母が、女人禁制のため、高野山に登れず、住んだと伝えられている。奉納された「特大おっぱい絵馬」の下には、同院の〝乳房信仰〟について、「廟の前の柱にぶら下がっている数々の乳房形に気がつくと、しばらく瞑目することを忘れていた。それは羽二重で丸く綿をくるみ、中央を乳首のように絞りあげたもので、大師の母公と弥勒菩薩を祀る霊廟に捧げて安産、授乳、育児を願う乳房の民間信仰であった」(小説「紀ノ川」より)と、綴っている。
安念住職は「まさかと思っていた夫から〝お守り〟をもらって大喜びの奥さんや、息子から〝お守り〟をもらって幸せをかみしめる母親など、当院には〝お守り〟にまつわる礼状が次々届いています。闘病生活はとてもつらいと思いますが、〝平癒守〟で心を強くもってください」と言っている。
問い合わせは慈尊院(電話0736・54・2214)。
写真(上)は奉納された「特大おっぱい絵馬」を披露する安念住職。写真(中)は販売数1000袋を突破した「平癒守」。写真(下)は慈尊院の霊廟前に沢山掲げられた乳房絵馬。