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紀伊見荘に〝巽さんの木版画〟…郷土風景くっきり

和歌山県橋本市矢倉脇115に今春オープンした「いやしの宿~紀伊見壮」(板橋正浩社長)は、橋本地方の風景を描写した日本版画院同人・巽好彦さん(77)=同市妻=制作の木版画8点を掲げ、訪れる観光客から「日本の原風景が見える」と好評を博している。末廣和巳・総支配人は「木版画から、当地方の名所・旧跡の素晴らしさを感じていただれば」と言っている。
紀伊見荘に掲げられているのは、レストランに「隅田八幡神社 だんじり囃子(ばやし)」「子安地蔵寺 藤の花」「高野街道 三軒茶屋」「紀ノ川の夕日」、廊下の壁面に「紀の川祭の花火」「清水の家並み」「高野街道 天見」「高野街道 学文路」の各作品。
このうち「子安地蔵寺 藤の花」は、以前の国民宿舎「紀伊見荘」が購入。「隅田八幡神社 だんじり囃子」は、新しい「いやしの宿 紀伊見荘」に寄贈。その他の6作品は、同荘が購入した。
これら作品のうち「隅田八幡神社 だんじり囃子」は、ハッピ姿の若衆が、担ぎだんじりの3つの太鼓を必死に叩いている、勇壮な光景で、トコトン トコトン 「負けんなよ」という、囃子が聴こえてきそう。また、「高野街道 三軒茶屋」は、紀ノ川の畔(ほとり)の石灯ろうやお堂を描写していて、高野参詣の人たちが、舟に乗って川を渡る賑わいぶりが見えてきそう。
このほか「清水の家並み」は、紀北地方に特有の〝煙出し〟を刻んでいるし、「紀の川祭の花火」は、橋本橋の夜空に咲いた大輪の花火を表現している。
株式会社・紀伊見荘によると、巽さんの木版画を掲示したきっかけは、今春、橋本市商工観光課の笠原英治課長ら市職員と名刺交換したことから。紀伊見荘スタッフが、笠原課長らの名刺を受け取った際。そこに印刷された巽さんの美しい木版画に感銘を受け、全職員が巽さんの木版画入りの名刺(台紙)=100枚500円=を購入し、肩書きや氏名を印刷して使用。同時に、新しい「紀伊見荘」を飾る美術作品として、巽さんの木版画を選んだ。
末廣・総支配人は、その理由について「作品の出来栄えもさることながら、すべて橋本・伊都地方の昔ながらの風景を、木版画家として、見事に写し取っています。当地の名所・旧跡の良さを知っていただくには、最適だと思いました」と話した。
巽さんは「選んでいただいたのは、旧高野、旧大和街道沿いの風景だったので、それはそれでうれしかったのですが、一つだけ、勇壮な動きのある光景を飾っていただきたいと思いまして〝だんじり囃子〟を寄贈しました。いずれも精魂込めた作品です」と語った。
巽さんは、棟方志功・創設の日本板画院同人のほか、木版画・刀の会や紀北文人会会員。江戸時代の風景を描いた広重の浮世絵「東海道五十三次」と、橋本周辺を描いた「紀伊名所図会」に魅かれ、それらの絵に類似した橋本の古い町並みに着目。作品に仕上げている。
写真(上)は紀伊見荘に飾られた木版画「隅田八幡神社 だんじり囃子」と巽さん。写真(中)は木版画「子安地蔵寺 藤の花」。写真(下)は巽さんの木版画が印刷された名刺の台紙。


更新日:2012年7月13日 金曜日 08:45

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