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自転車店〝84歳〟現役・阪本さん…花畑作りも
和歌山県九度山町入郷に、84歳で現役の〝自転車屋さん〟がいる。阪本國夫さんで、1歳歳下の妻の米子(よねこ)さんが、良きアシスタント役。夫婦一緒に花畑も作り、橋本商工会館へ花を贈り続けていて、郷土の人々から「いつまでも元気でご活躍を…」と讃えられている。
阪本さんは昭和27年(1952)頃、自宅から大阪市此花区の親類の自転車屋に通い、見習い修業をしたうえ、九度山町で自転車屋を開業。以来約60年にわたり、自転車の販売・修理一筋に生きてきた。
阪本さんは「開店当初、大阪で仕入れた自転車に乗り、はるばる紀見峠を超えて、戻ってきたこともあります。今では時代も変わり、お客さんには、カタログで自転車の特徴や価格を説明。メーカーに持ってきてもらいますよ」と、にっこり話す。
東隣には寺から管理を任されている畑(約240平方メートル)があり、時計草やヒマワリ、紫陽花など、様々な花を栽培して、橋本市の橋本商工会館に提供。そこの宴会場などに飾られて、喜ばれている。同会館からは感謝状、「小さな親切」運動本部(東京)からは、実行章を受章している。
愉快なのは、約10年前、閉鎖した〝玩具店〟から、ひょっとこ、おかめ、アヒルなどのお面(セルロイド製)と、吹き矢やセミセミ(金属製)など、沢山のおもちゃを譲りうけた。
そのうち、お面については、店頭に飾っているが、子どもたちが欲しがっても、かぶって交通事故に遭うといけないので、あげない。セミセミは危険性がなく、〝鳴かせるおもちゃ〟なので、プレゼントしているという。
阪本さんは「私は、膝(ひざ)が少し痛む程度で、体は至って健康。それもこれも、妻の支えのお陰で、現役・自転車屋で居られます」と感謝。「今は、九度山の自転車屋は、うち1軒だけになりました。毎日のように修理・修繕を頼まれますし、皆さんから〝自転車屋、やめんといてや〟と言われるのがうれしい」と話し、米子さんも「そうそう」という風に微笑んでいた。
写真(上)は自転車を修理する84歳・阪本さん。写真(中)は大切にしている面類。写真(下)は時計草に水をやる阪本さん夫婦。