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郷土史家・北川さん〝遺作展〟…篆刻など15点

和歌山県の元職員で郷土史家の故・北川秀臣さん(1933~2011年=同県橋本市高野口町小田)の「遺作展」が、5月11日、同町の橋本市産業文化会館の〝高野口文化フェスティバル〟で始まった。13日(日)まで。入場無料。
北川さんは、高野口文化協会や文化財研究会を創設、文化財・講演するなど、郷土文化に貢献、橋本市文化賞の受賞者。
趣味は篆刻(てんこく)や陶芸、写真、木版画など多彩で、自宅には沢山の作品が残されている。
今回「遺作展」では、真ん中に普通の「遊」という文字を刻み、その周囲に個性くっきりの8種類の「遊」という文字を刻んだ篆刻、木版画による聖徳太子像の掛け軸、「人面付縄文土器」(野焼き作品)と記した陶芸、2匹の猿のノミ取り風景を撮った写真など計15点を展示している。
会場には、友人の玉置良さんが「碧空に秀峰潔し 北川秀臣先生・淑子様ご夫妻を敬慕申し上げ奉詠(えいじたてまつる)」と前書きして、北川さんの功績を讃え、次のような和歌10首をしたためている。
「いつくしみ言祝(ことほ)ぎくるるを(男)の子生(あ)れ欣(よろこ)び深きわれらふるさと」(昭和八年九月誕生)
「文化財を愛秘めて説く研究会厚きしをりも大部(たいぶ)となりぬ」(文化財研究会創設)
「丹念にしらべし手引き後世に多岐網羅せる地道な業績」(講演会・研修会の資料)
「わが町のかがやき放つフェスティバル重ねる回の礎此処(いしずえここ)に」(高野口文化協会設立)
「悠久の時の流れを父祖の地の土にとどめる形あまたに」(陶芸作品大小多数)
「一瞬の光のさやぎうつくしく撮しおかれぬ内外の景に」(海外・国内写真作品)
「畏(おそ)れつつ押す篆刻の印形に細密の技静謐(せいひつ)の時」(篆刻作品制作・指導)
「産土(うぶすな)をあがめいとしみ煕(ひろ)めんとつらぬく精華に顕彰の秋」(橋本市文化賞受賞)
「永年のたゆまぬ尽力の蔭に添ふ夫唱婦随(ふしょうふずい)よ菊かをる今日」(尽きせぬ麗しき夫婦愛)
「夏空を弥勒(みろく)の界へ招かるる鳳(おおとり)はるかひかり曳(ひ)きゆく」(平成二十三年七月永眠)。
会場を訪れる人たちは、丹精込めた作品に見入りながら、「郷土文化について、楽しく教えていただきました。ほんとうに惜しい人を亡くしました」と話していた。
同フェスティバルは、高野口文化協会、財団法人橋本市文化スポーツ振興公社主催。会場には市民の盆栽、絵画、写真、書、陶芸、茶華道、川柳、短歌、俳句作品を展示。例えば、絵画(高野口絵画同好会)は蕗の薹(ふきのとう)を描いた「早春」(南口みどりさん)や沿道に花咲く「梅の里」(中山敏和さん)など44点を掲示。
写真(高野口写友会)は3枚組みの「那智の火祭」(青木一郎さん)や桜を背景に腹いっぱい風をはらむ鯉幟の「乱舞」(岩坪寛子さん)など33点を展示している。
作品展時は12日(土)は午前9時~午後5時、13日(日)は午前9時~午後4時。
また、13日午後1時から「舞台発表」(コーラスあじさい、大正琴きのくにアンサンブル、オアシスの会、三味線サークル、詩吟サークルなど)があり、東京芸術大学出身の村田千佳さん(ピアノ)と山田麻実さん(バイオリン)による二重奏のゲスト出演が予定されている。
写真(上)は北川さんの遺作展で玉置さんが奉詠した和歌に見入る女性。写真(中)は北川さんの木版画「聖徳太子像」の掛け軸。写真(下)は篆刻、写真、陶芸作品が並んだ北川さんの遺作展。


更新日:2012年5月12日 土曜日 05:17

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