ニュース & 話題
書、日本画、陶芸…魅了「紀北文人展」開幕
紀北地方の文人墨客の作品を集めた「紀北文人展」が20日(金)、和歌山県橋本市東家の橋本市教育文化会館4階で始まった。個性豊かな書、日本画、陶芸など計38人の約70点が展示されており、紀北地方の芸術文化への思いの深さが溢れている。主催する紀北文人会会長の坂部蒼石さん(82)は「皆さんの心が表れた作品ぞろいなので、見ごたえがあると思います」と、多くの来場を期待している。22日(日)まで。入場無料。
紀北文人会は1948年6月に発足。紀北文人会展は、今回で第64回目を数える。会場では、まさに遊々とした筆遣いの「遊雲」(防野宗和さん)や、目玉が空をにらむ達磨立像に「静観 祈り」の字を添えた絵と書(山口酔岳さん)、坂部さんがとても好きな故・阿波野青畝さんの句、「一の字に遠目に涅槃したまへる」をしたためた書など、いずれも「動と静」の呼吸を感じさせる作品ばかり。
それらの書の間には、水車小屋のある風景を墨で描いた「安曇野」(曽和千粧さん)や、目の覚めるような真紅の「牡丹」(南口みどりさん)、迫力感のある「毘沙門天図」(木村幹次郎さん)の絵などが飾られている。
また、自ら狂言を演じる後藤光石さん制作の、「水に棲む酒好きの妖精が酔いの楽しさに赤く笑む」とする「猩猩(しょうじょう)」と、「家を追われ盲目となった暗鬱(あんうつ)な内面を表している」とした弱法師(じゃくほうし)の2つの面が掲げられ、テーブル上には高さ40センチ程もある飾皿「私の掌(てのひら)」(北川秀臣さん)などが置かれている。
坂部さんは「出展者は日展などで何度も入選した、この地方の指導者がほとんどです。お互いに研鑽(けんさん)を積み重ね、心のこもった作品を見ていただく展覧会ですので、きっと喜んでいただけると思います」と話している。
時間は午前九時半~午後5時(最終日は午後4時)。場所は橋本市役所前バス停下車、徒歩3分。紀北文人会の代表当番は後藤光基さん(0736・32・1038)。
なお、「それぞれの世界展」も同会館で同時開催されている。