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101歳の母へ〝愛のコンサート〟~家族が企画

明治生まれの母〟を心から讃える、その子ども、孫、ひ孫3世代による「長寿お祝い愛のコンサート」が、3月22日、和歌山県橋本市高野口町の高野口産業文化会館(アザレアホール)で開かれた。主客は、明治43年10月25日生まれの、同市清水の日下愛子さん(101歳、ケアランド伊都に入所中)で、第2次世界大戦後、北朝鮮から子供7人を連れて帰国、全員、九死に一生を得た。〝愛のコンサート〟は、二女の石井寿子さん(69)が企画し、音楽家として国内外活躍中の、孫の谷野豊浩さん(34)淳子さん(34)夫妻や友人、知人らが、歌や踊りを披露。車イスでじっと見聞した愛子さんは「生きてきてよかった」と小声をもらし、終始、にこやかな表情だった。
愛子さんの夫の徳太郎さん(故人)は警察官で、徳太郎さん愛子さん夫妻は戦時中、北朝鮮に在住し、男4人、女3人の子どもをもうけた。しかし、日本の敗戦により、迫害危機が取り巻く、危険きわまりない中、昭和21年(1945)9月、愛子さんは7人の子どもを抱え、徒歩、そして貨車、船を乗り継ぎ、開城~釜山~博多(九州)と経由して、やっとの思いで帰国した。徳太郎さんも、同28年(1953)9月、遅ればせながら、船で舞鶴に帰ることができたという。
長男の日下博さん(79)は「私たち兄弟姉妹が、今、こうして幸せに居られるのは、すべて、あの戦場をくぐり抜け、私たちを日本まで連れ帰ってくれた母のお陰です」と話し、二女の寿子さんは「私たち子どもや孫たちが、感謝の気持ちを込めて、母が96歳になった誕生日の頃から〝愛のコンサート〟を開いてきました」と言う。
〝愛のコンサート〟が開幕し、愛子さんは、千羽鶴でいっぱいの車イスで、客席につくと、先ず、ケアランド伊都の女性主任が花束を贈呈。司会役の寿子さんが、愛子さんに近づいて「感想は?」と尋ねる。愛子さんは「何か、あまりの、びっくりして、何を言うていいか…。生きていてよかったと思います」と涙ぐむと、客席の約150人から祝福の拍手が起きた。
コンサートの主役は、愛子さんの末娘・谷野公子さん(67)の二男・豊浩さんと妻淳子さん夫妻。いずれも東京音楽大学音楽部を卒業していて、声楽専攻の豊博さんはピアノも修得し、淳子さんは二期会オペラ研究所を優秀賞を得て修了、世界的に活躍中。
この日、豊博さんと東京音楽大学卒の松永充代さんのピアノ伴奏で、淳子さんが「浜千鳥」「宵待ち草」「夕鶴」など、童謡やオペラ曲を美しいソプラノで披露。また、日下さんの近所の人や、寿子さんの友人らが、唄「屋台」踊り「岸壁の母」詩舞「荒城の曲を聴く」などを演じた。
愛子さんは、舞台で繰り広げられる、自分の子ども、孫、ひ孫、その友人らの演技を終始、感慨深げに見入った。寿子さんは「とにかく、お母さんには、元気で楽しくいてほしい。きょうはソプラノ歌手の淳子さんも、明るく、力強く歌ってくれました」と喜んでいた。
写真(上)は谷野豊博さんのピアノ伴奏で歌う妻の淳子さん。写真(中)は〝愛のコンサート〟を企画した石井寿子さん。「長寿お祝い愛のコンサート」で子どもや孫たちに囲まれて喜ぶ日下愛子さん(前列左から2人目)。

更新日:2012年3月22日 木曜日 23:29

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