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慈尊院・多宝塔で「龍の彫刻」発見~彩色復元へ
和歌山県九度山町の世界遺産・女人高野別格本山「慈尊院」で、解体修復工事中の多宝塔(県指定文化財)の〝蛙股(かえるまた)〟から、見事な「龍の彫刻」が見つかった。安念清邦住職は「辰年(来年)に完成する多宝塔から、龍の彫刻を発見できるとは、まことに縁起がいい」と喜んでいる。
同院は816年、弘法大師か高野山の表玄関として創建。大師を香川・善通寺から訪ねてきた御母公は、女人禁制で大師に会えず、同院に迎えられたが、翌年83歳で死去。同院の弥勒堂に祀られている。本尊は木造弥勒仏坐像(国宝)。
多宝塔も大師の創建だが、火災炎上などで、寛永年間(1624年~1643年)に再々建された。どっしりした構造で、銅板葺きの反りのある2層の屋根、水煙をかかげた相輪など、美しく均整がとれている。
今回、解体作業で、1層目の屋根を支える〝蛙股〟(高さ約20センチ、幅40センチ)を取り外した際、これまで彩色が剥落して、何の彫刻が検討がつかなかったが、調べた結果、龍の彫刻であることが判明。和歌山県文化財センターと修復専門業者、慈尊院の3者で協議。龍の彫刻に彩色を施し、復元することになった。
多宝塔の修復工事は、約3億円をかけて2009年に着手、2012年6月に完成する予定。安念住職は「2015年の高野山開創1200年大法会には、本尊・木造弥勒仏坐像ご開帳など、篤信者のために精一杯努めたい。大法会をひかえて、とくに龍の彫刻発見はうれしいです」。と話した。
更新日:2011年12月20日 火曜日 08:19