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自然災害から人命・財産を守る~橋本市が総合訓練
東日本大震災や台風12号による紀伊半島の大被害を受けて、和歌山県橋本市は10月30日、同市南馬場の緑地広場で、6年ぶりに〝総合防災訓練〟を行った。訓練には橋本・伊都地方の消防関係や近隣の大阪府河内長野市、奈良県五條市など計45団体925人が参加。木下善之市長は「この訓練で大災害にも対応できる。万が一の場合は、この調子で」と語った。
訓練は自然災害が発生し、市内各地で家屋倒壊などがあり、多数の負傷者が出たと想定。橋本市災害対策本部には、各地区の自主防災会から、次々と被災情報が入り、その都度、消防、自衛隊などの必要部隊の出動を要請した。
火災・倒壊家屋などの人命救助には消防や警察、自衛隊が出動。ガス・水道管の損傷には関係協会、土砂災害には建設業者、重傷者搬送には、ヘリコプターや救急車が急行し、てきぱきと、その作業にあたった。
先ず、婦人防火クラブの女性たち約50人が、背中に「防火」と染め抜いたハッピ姿で登場。2列縦隊に並び、特設水槽から、次々と水のバケツリレー。発炎筒の白煙に煙る中、男性顔負けの威勢よさで、スムーズにバケツを手渡していった。
倒壊家屋では、警察犬が生存者を捜索・発見、ワンワンと大声でほえ、警察官が救出。また、自衛隊員は屋根を工具でくり抜き、そこから負傷者を救出、タンカーで搬送。土砂崩れ現場では、建設業者が、パワーショベルで土砂を取り除いた。
高層ビル内に取り残された負傷者については、ハシゴ車が急行し、窓から消防隊員がもぐりこんで救出。真っ赤な消防車の列が、けたたましいサイレンの音を鳴らしながら、走り回り、迫真の訓練を繰り広げた。
災害により不足する生活物資については、河内長野市や五條市などから、対策本部に輸送された。
多少、秋の雨に見舞われたが、緑地広場を見下ろす紀ノ川堤防からは、多くの市民が見学した。今年は自然災害が相次いだだけに、「いざとなったら、必ず、市民の人命財産を守ってほしい」と口々に話し、各種団体の〝防災の底力〟に期待していた。