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順教尼と弟子2人の作品展~口筆の書画など57点

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順教尼の「般若心経」(右)全教尼の「無心」(中)南さんの「舞う コスモス」(左)を披露する弦野さん
    順教尼の「般若心経」(右)全教尼の「無心」(中)南さんの「舞う コスモス」(左)を披露する弦野さん
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順教尼の「般若心経」(右)全教尼の「無心」(中)南さんの「舞う コスモス」(左)を披露する弦野さん
    順教尼の掛け軸「般若心経」(表装部分には鳳凰の更紗絵)
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順教尼の容姿や雰囲気を上手に表わした「順教尼京人形」
    順教尼の容姿や雰囲気を上手に表わした「順教尼京人形」

両腕のないハンディを克服し、口に筆をくわえて書画を表した〝身体障がい者の母〟と崇拝される大石順教尼(じゅんきょうに、本名=よね=1888~1968年)と、その愛弟子2人の書画を集めた「大石順教尼の世界~順教尼と弟子たちの作品展~」が、11月2日(水)~12月4日(日)、和歌山県九度山町九度山1327の旧萱野家(大石順教尼の記念館)で開かれる。同家当主の萱野正巳館長は「心打つ作品ばかりなので、ぜひご覧ください」と呼びかけている。入館無料。
順教尼は大阪・道頓堀生まれ。17才の時、養父の狂乱により、両腕を切り落とされた。ある日、カナリアがくちばしでヒナにえさを与える姿を見て、「両手がなくてもできる」と発心し、口筆で絵画、書の道を志した。
1933年に萱野館長の祖父、萱野正之助・タツ夫妻が菩提親となり、高野山で出家得度。順教尼は、よく萱野家に逗留(とうりゅう)し、55年に口筆で描いた「般若心経」の写経が、日展書道部に入選、62年には東アジア初の世界身体障害者芸術家協会会員の認証を受けるなど、書画の道を究め、身体障がい者の社会復帰事業に尽くした。
今回出展する順教尼の愛弟子は、最初の弟子で書家の大塚全教尼(本名・節子=1918~2007)と、最後の弟子で日本画家の南正文さん(60)(大阪府堺市堺区)の2人。
全教尼は広島県生まれで、4歳の時、脊椎性小児麻痺にかかり、両肩と足の自由を失った。両親の介護により6歳で歩行可能になり、小学校3年の時、わずかに動く左手で描いた菊の写生画を先生に褒められ、画家を志す。21歳の時から順教尼に師事、寝食を共にして自立を学んだ。25歳で得度し、順教尼が亡くなった後、その意志を継いで、身体障がい者福祉に全霊を捧げた。
南さんは小学校3年の時、木工所内の事故で両手を失った。14歳の時、近所の人の勧めで順教尼に師事。口筆による日本画の修業を重ねた。1967年以降の堺市展で毎年、入選や奨励賞受賞を続け、95年に堺市展審査員。99年には財団ソロプチミスト日本財団から社会貢献賞を受賞。国内外で講演活動や、少年院慰問などを続けている。
今回の作品展では、萱野家が所蔵する順教尼の作品と、〝大石順教尼かなりや会〟が協力した愛弟子2人の作品の計57点を展示。その目録によると、順教尼の作品は、色紙「さくら」「鶴」「蛙」や掛け軸「般若心経」「犬はりこ」「摩利支天」、全教尼は掛け軸「無心」、色紙「宝船」、短冊「観音像」、南さんは額「夏 ひまわり」「舞う」「椿」などを展示する。
とくに、順教尼が晩年を過ごした京都市山科区の真言宗山階派大本山「勧修寺(かじゅうじ)」(境内=可笑庵・無心庵)が所蔵する掛け軸「般若心経」が出展され、同記念館役員の弦野真紀さんは、「筆跡もさることながら、表装部分に描かれた鳳凰(ほうおう)の更紗(さらさ)絵も素敵です」と説明。ガラスケースに飾られた「順教尼京人形」についても、「肩の力を抜いて、正座した姿が、ほんとうに順教尼をよく表わしています」と話した。
同記念館は2010年1月にオープン。今年9月までに入館者は8000人を超えているという。萱野館長は「順教尼がしばしば逗留した当家で、順教尼とその愛弟子たちの作品を、ゆっくりご鑑賞ください。きっと心に響くものと思っています」と、来館を呼びかけている。
開館時間は午前10~午後4時半。休館は毎週月、火曜日(祝日は開館)。同館(電話&ファックス=0736・54・2411)


更新日:2011年10月25日 火曜日 19:48

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