ニュース & 話題
熊野川アユ工房を設置~「うまいよ」森岡さん
熊野川の天然アユや、手長エビを、おいしく食べてもらい、川漁師の収入に結びつけば…と、和歌山県橋本市隅田町芋生、元橋本市職員・森岡康次さん(60)は、地元にアユ工房、新宮市熊野川町日足に作業所を立ち上げた。森岡さんは、川漁師から仕入れ、自ら水揚げした天然アユや、手長エビを、生のままか真空パック詰めにして、郷土に持ち帰り、橋本商工会館(結婚式場、宴会場、レストラン)などに卸し、「やっぱり天然物は最高」と喜ばれている。
森岡さんは約20年前から、地元の紀ノ川でアユ釣りを楽しんできたが、「熊野川のアユは、エサである苔(こけ)がいいので、アユの味は抜群にうまい」と聞いて、約5年前から熊野川へ釣りに出かけるようになった。
そこで知ったことは、川漁師がアユを取っても、家計のために販売する訳でもなく、家族で食べるか、友人知人、隣近所に配っている。「このアユを、郷土・橋本で食べてもらえたら」「それが確実な販路となれば、川漁師の生活経済の一助になるかも」と考え、往復約5時間もかけて、熊野川へ通ううち、しっかりと信頼関係を築いてきた。
昨年春、定年を待たず、市役所を退職し、事務所と作業所を設置。6月~11月のシーズン中、毎週水、木、金、土曜は、熊野川でアユの友釣り、竿釣りに明け暮れ。アユの釣果はシーズン中に約4000匹、手長エビは筒の仕掛けで、1回約100匹にのぼる。また、日、月、火曜日は橋本に戻り、橋本商工会館や、奈良県五條市の料理店などに卸している。
橋本商工会館では、塩焼きや、てんぷらにして、提供しているが、「さすがに、清流の苔を食べた天然アユは、格別の味」と、好評を博している。
森岡さんは、作業所で、アユの一夜干し、丸干し、焙(あぶ)りアユ、生アユの真空保存の加工を施し、手長エビは水パック、氷づけにする。同会館の結婚式場・宴会場・レストラン支配人、野村由宙子さんは、「このアユをうちの自慢の品にしたい」と、張り切っている。
森岡さんは「天然アユの粉末は、カルシウムがダントツに含まれているし、うどん、ごはん、お茶漬け…、何にでも合って、うまいです」と胸を張り、「とにかく自然の恵みを生かしたい。この仕事、採算など考えずに、第2の人生を全うしたい」と話した。