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中将姫の里にげんげ満開~橋本・恋野の田んぼ
奈良時代に生きた中将姫伝説のある和歌山県橋本市恋野地区で5月15日、今では少なくなった紫雲英(げんげ)田が、昔懐かしい風景を見せていた。田んぼ2枚を合わせて、約2000平方メートルはあろうか。紅紫色の無数の花が咲き競い、一面、ジュウタンを敷き詰めたような美しさだ。
この日はちょっと風が強く、びゅわーっと風が吹いてくると、げんげ田は、まるで海原のように波打ち、あちらの畦道(あぜみち)から、足元の畦道まで、紅紫色の波が打ち寄せてくる。小さな花に目を近づけると、花のひとつひとつに、蜜蜂(みつばち)が来ていて、羽音が聞こえ、甘い香りがする。
ここは、紀ノ川の南岸の小高い丘陵地帯で、中将姫が隠れ住んだと伝えられる舞台。あたりには姫が歩いたという「糸の細道」や、姫が観音像を祀ったとされる「中将が森」、姫が暮らしたという「中将倉」などの旧跡がある。
英知に富み、容姿端麗で、管弦に優れていた中将姫。それを思うと、げんげ田に姫のまぼろしがあらわれて、楽しくなってくる。
げんげ田を中将姫のわたりゆく (水津順風)
更新日:2011年5月15日 日曜日 18:21