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「貧困・救済策が必要」加勢田・関西大教授が講演
関西大学校友会橋本支部の創設5周年記念事業の「加勢田博 講演会」が3月20日午後、和歌山県橋本市矢倉脇の国民宿舎「紀伊見荘」4階ホールで開かれ、出席した関西大卒業生ら約60人が熱心に聴講した。講演会に先立ち、今回の東北関東大震災について、木下善之・橋本市長が、「ぜひ、被災者救済に働らいてほしい」と要請。浅井徹支部長は「役員会に図り、前向きに取り組みたい」と答えた。
加勢田氏は関西大学経済学部教授(経済学博士)。和歌山県伊都郡高野町出身で、県立橋本高校卒業。関西大と同大学院に学び、同大学理事、同副学長、社会経済史学会理事・顧問、日本カナダ会理事などを歴任。この日は、「世界の貧困、ニッポンの貧困」をテーマに講演した。
冒頭で「先日は東北関東大地震、・大津波が起き、その影響で原子力発電の事故も起きた。天災はどうすることもできないが、今回のテーマの『貧困』は、われわれの社会システムで起きるもの」と前置き。その上で、「貧困には、日本のようなペットの犬まで太っているような『相対的貧困』と、食事もできず命をつなぐ゜ことさえできない『絶対的貧困』がある。小泉内閣は、日本の大切な文化であった『終身雇用、年功序列賃金』の制度をぶっ壊し、アメリカ型の『勝者と敗者を生み出す競争社会』にしてしまった。ヨーロッパ社会からは「何というもったいないことを」と言われている」と説明。
「第2次世界大戦前には、競争原理で大量生産、大量消費による、経済浮揚策を考えた先進国が、植民地政策を推し進めた。今は、日本でもEPA(経済連携協定)やFPA(自由貿易協定)を叫んでいる。これからは、貧困率が高まる一方なので、貧困救済のセーフティーネットを、ぜひ構築しなければならない」と強調し、締めくくった。
この後、市部員との間で、簡単なディスカッションが行われ、支部員が、「橋本では企業誘致政策に力を入れているが、これでいいのか」と質問。、加勢田教授は、橋本の産業構造・状況を示した上で、「まちの活性化には、企業誘致だけでなく観光産業などに取り組む必要がある」と答えた。浅井徹支部長は「貴重な講演を聴いて、私たちは、1人でも多く結束し、まちの発展に尽くしたい」、と語った。