ニュース & 話題

平清盛の血曼荼羅再現~高野山・金堂で奉納開眼法会

平安時代末期、平清盛が彩色に自らの血を混ぜて奉納したと伝わる高野山真言宗総本山・金剛峯寺(和歌山県高野町)所蔵の重要文化財「両界曼荼羅図(りょうかいまんだらず)」=別名・血曼荼羅=が、凸版印刷(本社・東京)の最新技術で、当時の極彩色の「想定色(そうていしょく)平成再生版」として復元され、7月3日、高野山・壇上伽藍(だんじょうがらん)の金堂で「奉納開眼法会」が営まれた。
金堂内正面に掲げられた両界曼荼羅図は仏の世界が描かれ、向かって左側が「金剛界」、右側が「胎蔵界」で、原寸大(縦4・3メートル、横4メートル)と縮小版(縦1・98メートル、横1・86メートル)の各2幅。
金剛峯寺の説明によると、保元元年(1156)に平清盛が奉納した通称「血曼荼羅」は、弘法大師・空海が、密教第七祖の中国長安・青龍寺の恵果阿闍梨(けいかあじゃり)より密教を伝法、正式な継承阿闍梨として付与され、大同元年(806)にわが国に伝来した根本曼荼羅の系統の「現存最古の彩色曼荼羅図」としている。
この「血曼荼羅」も、長年の奉祀法会(ほうしほうえ)に伴い、諸仏尊や紋様などの線描彩色(せんびょうさいしき)に経年劣化(けいねんれっか)が生じたため、金剛峯寺と凸版印刷が「高野山開創1200年記念時」完成を目指し平成19年(2007)から本格的に復元に着手。X線撮影などで約1900体の仏像や紋様などを解明し、デジタルデータを基に特殊プリント技術を駆使して、平安末期の極彩色「血曼荼羅」を甦らせたという。
この日、壇上伽藍・金堂に中西啓寶(なかにし・けいほう)座主・管長や凸版印刷の足立直樹(あだち・なおき)代表取締役会長ら約30人が参集。中西座主・管長を導師に10数人の僧侶が読経の後、足立会長から中西座主・管長に目録、中西座主・管長から足立会長に感謝状がそれぞれ贈呈された。
足立会長は「最新のテクノロジーと皆さんの努力で、次の基準となる血曼荼羅を復元できた。文化継承を願うとともに、高野山開創1200年の記念すべき年に奉納できて有難うございます」と挨拶。添田隆昭(そえだ・りゅうしょう)宗務総長は「トップ級の印刷技術を持ち、情報文化の担い手である凸版印刷の力で、両界曼荼羅が復元された。大切に継承していきたい」と謝辞を述べた。
この「想定色平成再生版両界曼荼羅」は10月1日~11月1日、高野山・霊宝館で特別公開する予定。
写真(上)は復元された「想定色平成再生版両界曼荼羅」の前で営まれる奉納開眼法会。写真(中)は開眼法会で読経する僧侶と参列した関係者の皆さん。写真(下)は僧侶の皆さんも撮影する見事に復元された通称「血曼荼羅」。


更新日:2015年7月3日 金曜日 15:30

関連記事

ページの先頭に戻る

  • 標準
  • 大
  • RSS
  • サイトマップ

検索

過去の記事