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枇杷の実熟れて野鳥大喜び♡橋本の高野山真言宗観音寺・十一面観音堂前~参道沿いの六地蔵尊や紫片喰の小花も神々しく
和歌山県橋本市東家の高野山真言宗・慈眼山「観音寺」=柿内諦光(かきうち・たいこう)住職=の十一面観音堂前で真夏日の6月19日午後、1本の枇杷(びわ)の木で無数の枇杷の実がかがやき、周辺のあぜ道や草むらでは紫片喰(むらさきかたばみ)の小花が木漏れ日を浴びて、参拝者は参道沿いの六地蔵尊に手を合わせた後、仏教の夏景色を楽しんでいた。
六地蔵尊とは釈迦・入滅後、六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天道の各界)を訪れて、人々を救い上げ、力を与える地蔵菩薩のこと。多くの檀信徒が地蔵尊を聖水で清め、赤い前垂れを掛けて供花。
十一面観音堂では毎年、初護摩祈祷(はつごまきとう)が営まれ、僧侶3人がほら貝を吹きながら登場。柿内住職は観音堂内で初護摩を焚いて、人々の「家内安全」「無病息災」を祈願。
檀信徒らは訪れる家族連れに七草粥(ななくさがゆ)を提供して「温かい」「おいしい」と喜ばれている。
この日、1本の枇杷の若木は深緑に包まれ、そこから枇杷の実があふれ、ヒヨドリなどの野鳥がおしい♪と囀り、地上の木陰では紫片喰(むらさきかたばみ)が木漏れ日や涼風をいただいていた。
[枇杷の俳句18句紹介]
さっきから鴉が鳴いて枇杷日暮(高澤良一)
枇杷むけば亡き人の来て一つ剥く(岡本眸)
枇杷種に遠い灯がつき老夫妻(桂信子)
尼寺や甚だ淡き枇杷の味(村上蚋)
枇杷熟るる出窓の多き異人館(中井啓子)
枇杷山に娘も駆り出され袋掛(伊東宏晃)
退院の夜の団欒の枇杷すする(伊東宏晃)
枇杷を剥く指から宙は始まりぬ(大西泰世)
ふたまわり下の男と枇杷の種(池田澄子)
枇杷買ひて夜の深さに枇杷匂ふ(中村汀女)
無伴奏組曲夜の枇杷太る(浦川聡子)
青枇杷や九十九折なす島の道()石川桂郎)
枇杷をもぐ笠を阿弥陀に雨の中(福田蓼汀)
杷たわゝ朝寝たのしき女の旅(近藤愛子)
闘病の細き指もて枇杷すする(中村芳子)
枇杷値切る婦人忘れぬ貞操を(宮武寒々)
枇杷の実の天を仰ぎて太りけり(上村占)
写真(上)は十一面観音堂前で実った枇杷の実。写真(中)は十一面観音堂の参道沿いに並ぶ六地蔵尊。写真(下)周辺の草むらに咲いた紫片喰の小花。