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名高い「恋野米」の水田に豊かな水♡カモ仲間が遊泳する日本の原風景♪
おいしい「恋野米」として名高い、和歌山県橋本市恋野の農地は、降雨に恵まれた6月初旬、ため池の分水をたくわえた幾枚もの水田がかがやき、カモ仲間が颯爽と遊泳、初夏の日本の原風景を繰りひろげている。
恋野地区には中将姫物語の伝わる「中将が森」や姿見の「鏡池」などもある。また、溜池(ためいけ)から水田までの間、水田の広さに応じて分水するという、全国でも珍しい「分水戸(ぶんすいこ)」を計32か所に設けている。
中将が森付近の「分水戸」では、大量の流水を巧妙に分水、爽やかな音を立てながら彼方の水田を満たしている。
近くの本田池のほとりでは栗の花が満開で、若々しい紫陽花がつぎつぎ開花。高台に立つと何枚もの水田が豊かな水にかがやき、彼方の葛城・金剛連峰が霞んでいた。間もなく田植えが始まり、楽しい「あじさいまつり」も近づいてくる。
[水田の俳句16句紹介]
くらがりに母の晩年水田見ゆ(森澄雄)
段々の水田こだまにほととぎす(森澄雄)
稲妻に水田はひろく湛えたる(杉田久女)
流れ越す水田の月に涼みゐし(杉田久女)
蛙鳴く水田の底の底(正岡子規)
かきつばた咲くや水田の靄の中(正岡子規)
水田あかり松風を得し吹流し(角川源義)
水田いまがきがきと鳴り耕耘機(加藤秋邨)
水田の雨まだ一苗も植ゑずをり(能村登四郎)
青嵐鷺吹き落す水田かな(芥川龍之介)
夏霞水田のつゞくかぎりかな(久保田万太郎)
夏近き曾我中村の水田かな(村上鬼城)
糸のべて凧の尾垂るゝ水田哉(正岡子規)
花曇水田の底の足の跡(長谷川櫂)
里ぢゆうの水田みゆるや朴の花(長谷川櫂)
囲無く水田の中に墓地があり(山口誓子)
写真(上)は中将が森付近の分水戸から水田を満たす流水。写真(中)は本田池のほとりから眺めた恋野地区の水田風景。写真(下)は水田を遊泳するカモ仲間。