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咲いたよ柘榴(ざくろ)十薬(じゅうやく)蛍袋(ほたるぶくろ)♡橋本の真言律宗・妙楽寺=岩西住職の母・康子(やすこ)さん植栽♪
高野山麓・橋本の真言律宗・妙楽寺=岩西彰真(いわにし・しょうしん)住職=の境内で5月30日、無数の柘榴(ざくろ)の実がふくらみ、朱色の花がいっぱい咲いて、鐘楼門わきでは十薬の小花がまばゆく、仮本堂わきに咲いた蛍袋も神々しい。
同寺は嵯峨天皇・勅願により弘仁11年(820)、弘法大師が開創し、姪(めい)の如一尼(にょいちに)が初代住職を務めた古寺。やがて無住寺・無檀家となったため、今は老朽化で本堂も巨木も撤去。ご本尊・薬師如来坐像と江戸時代建立の鐘楼門だけが残っている。
この日、鐘楼門わきの「禁殺生」の石碑前では純白の十薬が咲き広がり、仮本堂わきの柘榴(ざくろ)の木では蕾(つぼみ)ふくらみ、あざやかに開花、近くでは蛍の遊び場ともいう蛍袋が咲いている。
花木植栽に励んでいる岩西住職の母・康子(やすこ)さんは、「四季の花々は多くの参拝者の心を和ませてくれますので、これからも頑張ります」と話していた。
[柘榴の花の俳句7句紹介]
おふくろのちび下駄のこる花石榴(向山隆峰)
また父に尋ねたきこと花石榴(上田日差子)
八十のゲーテに恋の花石榴(妹尾亮山)
古宿や青簾のそとの花ざくろ(飯田蛇笏)
子のあらばつけたき名あり花石榴(片山由美子)
朱印打つ坊守も留守花ざくろ(前川きくじ)
花石榴すでに障子の暮色かな(加藤楸邨)
[十薬の花の俳句8句紹介]
十薬にひと竿で足る濯ぎもの(長谷川秋子)
十薬の吊されかわく仁王門(澁川公子)
十薬の天に向ひて十字切る(高澤良一)
十薬の根の長々と瓦礫より(細見綾子)
十薬の花の近くの灰かぐら(桂信子)
十薬を干しすこやかに母在す(山川充恵)
墓群よりも十薬ひしと寄り合へる(石田波郷)
どくだみを咲かせて寺を守るなり(和田悟朗)
[蛍袋の俳句10句紹介]
てふてふに螢袋の深すぎる(矢島渚男)
宵月を蛍袋の花で指す(中村草田男)
恋一つ螢袋の深さかな(山村恵子)
逢ひたくて螢袋に灯をともす(岩淵喜代子)
高野夕風ほたるぶくろを吹いて来よ(村越化石)
夏野行けば釣鐘草も咲てゐる(北原白秋)
螢袋は愁ひの花か上向かず(鈴木真砂女)
眠くならぬこのごろ螢袋かな(岡井省二)
睡魔ゐて螢袋を出られぬ日(清水径子)
きりぎしの螢袋のみな咲けり(伊藤敬子)
写真(上)は柘榴の花、写真(中)は「禁殺生」石碑前の十薬の花。写真(下)は蛍袋=いずれも妙楽寺で。