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新緑の楓(かえで)と綺麗な小花に心なごむ♡神仏習合の丹生都比売神社~参拝者らスマホ撮影楽しむ
和歌山県かつらぎ町上天野の世界遺産・丹生都比売(にうつひめ)神社の境内で5月15日、無数の楓(かえで)の花が咲いて、涼風にゆらゆら。この花はとても小さいので見えにくいが、新緑の楓に包まれた参拝者は、満開の楓の小花にびっくり、「家族や友だちに見せてあげたい」とスマホ撮影に心を込めていた。
同神社=丹生晃市(こういち)宮司=は、天照大御神(あまてらすおおみのかみ)の妹神・丹生都比売大神を祀る初の「神仏習合」の古社で、境内の鏡池(かがみいけ)には、豊臣秀吉の側室・淀君(よどぎみ=茶々)が寄進したという、弁柄色(べんがらいろ)の輪橋(りんきょう)が架かっている。
その池畔には〝楓の森〟があり、今は新緑、秋は紅葉となって毎年、参拝・観光客の心を潤している。この日、輪橋(りんきょう)近くの小池は楓の若葉に包まれ、花粉運びを風に頼るという薄紅色の風媒花(ふうばいか)が神々しい。
家族連れや友人グループらは弁柄色の鳥居をくぐり、本殿・楼門前で2礼2拍手1礼して神仏崇拝、家族安泰・世界平和などを祈った後、改めて楓の花に見入っていた。ここ天野盆地は米の名産地で、もうすぐ美しい植田風景も楽しめそう。
[楓と楓の花の俳句17句紹介]
照りそめし楓の空の朝曇(石田波郷)
朝方の楓翼果に風湧ける(高澤良一)
滝殿や木鉢へ植ゑし楓の実(飯田蛇笏)
観楓の風をいたみて精舎かな(飯田蛇笏)
同型の楓紅葉の全しや(高澤良一)
本丸や楓片枝紅葉して(高澤良一)
楓林に落せし鬼の歯なるべし(高浜虚子)
山陰の楓林や閑古鳥(会津八一)
くれなゐをしぼりて楓冷ゆるかな(鷲谷七菜子)
涼暮月楓の朱葉濡れしたたり(長谷川かな女)
神の留守青き楓樹の情なかり(長谷川かな女)
子雀に楓の花の降る日かな(長谷川かな女)
花楓に立つ師うれしく門あくる(長谷川かな女)
卯月住むや楓の花と妹ぎり(渡邊水巴)
日の濃さを甘しと思ふ花楓(永井龍男)
花楓新婚のふたり椅子に揺れ(山口誓子)
花楓紺紙金泥経くらきかも(水原秋櫻子)
写真(上)は薄紅色の楓の花。写真(中)は同神社の中鳥居から眺めた本殿・楼門。写真(下)は輪橋近くの小池を包む新緑の楓風景。