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野鳥へのご馳走ザクロ、ふくらみ色づきはじむ♡高野山麓・橋本の真言律宗・妙楽寺の新春詩情
弘法大師・空海開創の真言律宗・妙楽寺(橋本市東家)で1月中旬、ザクロ(柘榴)の若木から沢山のザクロが色づきはじめ、歴史深い聖域の新春風情を繰りひろげている。
同寺は820年(弘仁11)に弘法大師が開創、姪(めい)の如一尼(にょいちに)が初代住職を務めた古寺。やがて無住寺・無檀家となったため、今は本堂も巨木も撤去。本尊・薬師如来坐像と江戸時代建立の鐘楼門だけが残っている。
同寺と同寺再建再興委員会は毎年、浄財を求めて托鉢寒行に取り組んでいる。
薬師如来坐像を祀る仮本堂の表ではザクロの若木が育ち、昨年晩秋には真っ赤な割れざくろが沢山ぶら下がり、近くの愛宕山(あたごさん)などから飛んでくる野鳥が、真っ赤な実をすべて啄(ついば)んでピーチクパーチク♪
新春には、新しい約30個のザクロがピンポン玉程度にふくらみ、赤く色づきはじめていて、
岩西彰真(いわにし・しょうしん)住職の母・康子(やすこ)さんは「今年も小鳥たちに楽しく味わってもらえそう」と話していた。
写真は妙楽寺・境内でふくらみ、色づきはじめた野鳥へのご馳走ザクロ。
[柘榴の俳句16句紹介]
去年の実の柘榴にありて雪降れり(永井龍男)
柘榴の粒幾百食はば寂しさ消ゆ(橋本多佳子)
庭の柘榴床の柘榴を笑ふらく(寺田寅彦)
柘榴が口あけたたはけた恋だ(尾崎放哉)
柘榴地に裂けちりばむといふことを(山田弘子)
幾刻ぞ月と石榴の位置かはる(加藤楸邨)
柘榴火のごとく割れゆく過ぎし日も(加藤楸邨)
石榴の実の一粒だにも惜しみ食ふ(山口誓子)
石榴の実噛めば思ひ出遥かなり(高浜年尾)
柘榴盛つて女人の座とす十三夜(長谷川かな女)
石榴赤しふるさとびとの心はも(高浜虚子)
葉がくれに秋をうなづく柘榴哉(寺田寅彦)
虚空にて見えざる鞭が柘榴打つ(桂信子)
裏町に住んで柘榴の一木かな(河東碧梧桐)
過去苦く柘榴一粒づつ甘し(鷹羽狩行)
鉢植の柘榴少き実を持ちぬ(寺田寅彦)