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万葉人も感じた「竹の春」しみじみ♡橋本・真土万葉の里~冬ながら竹林の新緑あふれる♪
万葉人が往来した〝飛び越え石〟が残っていることで名高い、和歌山県橋本市隅田町真土の落合川の竹薮は12月上旬、俳句の季語である「竹の春」を迎えていて、瑞々しい緑、緑、緑が溢れている。
この落合川は、和歌山・奈良の両県境を流れていて、両岸から突き出た二つの巨石の間を流水が通る。万葉人はこの巨石から巨石へ、馬または徒歩で飛び越え、大和と紀州を往来したことから、大和では〝神代の渡し〟と言い、紀州では〝飛び越え石〟と呼ばれてきたらしい。
この素敵な竹薮は〝飛び越え石〟上流右岸にあり、約150本の竹林が清風にそよぎ、中空から冬日差し、川面からせせらぎがもれてくる。
あらゆる竹林は、繁殖期の春には、筍(たけのこ)に栄養分を与えるので黄色くなり、秋には筍が若竹に、冬には親竹も緑色を取り戻すので、俳句では「竹の春」「竹の秋」と詠まれている。
さすがに底冷えする師走、人影はほとんど見られないが、時折訪れる若者グループは「この真土万葉の里は、夏はハス、秋はヒマワリなの花々が素敵。今は紅葉ですが緑の竹藪もまた素敵です」とスマホ撮影・配信を楽しんでいた。
[竹の春の俳句12句紹介]
おのが葉に月おぼろなり竹の春(蕪 村)
一むらの竹の春ある山家かな(高浜虚子)
唐門の赤き壁見ゆ竹の春(高浜虚子)
坂かけて夕日美し竹の春(中村汀女)
峡抜けてゆく明るさの竹の春(稲畑汀子)
竹の春いつもの位置に父の椅子(角川春樹)
竹の春西国の蝶ゆつくりと(大峯あきら)
竹春の日につつまれてゐたりけり(岡井省二)
観覧車より東京の竹の春(黛まどか)
門川は雨に濁りて竹の春(尾崎紅葉)
「不老」の額かけたり書屋竹の春(山口青邨)
碁盤あり琴あり窓の竹の春(正岡子規)
写真(上・中)は飛び越え石とその上流の竹林。写真(下)は瑞々しい緑・緑・緑の竹林。