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清らかな蛍袋咲いたよ♪高野参詣の世界遺産・黒河道入口付近~橋本・玉川峡谷などで源氏ボタルも飛翔?
和歌山県橋本市の世界遺産・黒河道(くろこみち)入口付近で5月30日、真っ白い蛍袋(ほたるぶくろ)が瑞々しく咲いて、高野山・参詣古道の詩情が溢れていた。6月中旬以降は、玉川峡谷(紀伊丹生川)などで源氏ボタルが飛翔しそう。
この黒河道は同市賢堂の高野山真言宗・定福寺(じょうふくじ)南側で、入口わきには御堂「高野玉川新四国霊場 第二番護摩壇(本尊 阿弥陀如来)」がある。蛍袋はそのすぐ近くで開花。提灯(ちょうちん)形の花が幾つもぶら下がっていた。
昔は火垂(ほたる)を提灯(ちょうちん)と言い、日本の子どもたちは、蛍袋の中に蛍を放って、蛍袋のほの明かりを楽しんできたという。
この日、黒河道入口付近の高台に立つと、眼下には定福寺やJR・南海橋本駅周辺の市街地、紀の川・橋本橋が見えて、その向こうには陵山(みささぎやま)古墳や県立橋本高校、葛城・金剛連峰が初夏の日差しを浴びている。時折、訪れるハイカーらは、山川の自然に恵まれた街並みや、蛍袋の清々しさに心和ませていた。
[季語・蛍袋の俳句16句紹介]
ながあめの晴間ほたるぶくろは袋干す( 山口青邨)
螢袋に山野の雨の匂ひかな(細見綾子)
日の暮るる螢袋も魚屋道(森澄雄)
妻植ゑてありしよ螢袋咲く(右城暮石)
宵月を蛍袋の花で指す(中村草田男)
螢袋の中のおふくろぼたるかな(平井照敏)
邂逅は山路の蛍袋より(稲畑汀子)
貧しさはほたるぶくろの白さほど(岡本眸)
蛍袋何に触れむと指入れし(能村登四郎)
螢袋下山とあれば声弾む(角川源義)
螢袋のなかの明るさほどの知慧(飯島晴子)
夏草やほたるぶくろの花浮かめ(山口青邨)
おさなくて螢袋のなかに栖む(野澤節子)
夏薊ほたるぶくろと山の蝶(水原秋櫻子)
蛍袋は愁ひの花か上向かず(鈴木真砂女)
眠くならぬこのごろ螢袋かな(岡井省二)
写真(上、中)は橋本の世界遺産・黒河道入り口付近で咲いた美しい蛍袋の花。写真(下)は黒河道の高台から眺めたJR・南海橋本駅周辺の市街地や紀の川・橋本橋=背景は葛城・金剛連峰。