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なんと藪手毬(やぶてまり)満開♡橋本・杉尾の山里~柿畑は摘蕾(てきらい)作業、水田は初夏の風に早苗そよぐ
国が認めた日本の音風景100選「杉尾の巨石」として名高い、和歌山県橋本市杉尾の山里で5月6日、まっ白な藪手毬(やぶてまり)の花が満開になり、すでに水田では早苗(さなえ)が涼風にそよそよ、あたりは柿若葉に包まれ、農家のご夫婦が摘蕾(てきらい)作業に取り組み、日本の初夏風景を繰りひろげていた。
「杉尾の巨石」は、明王寺わきの635段の階段を登った山上にあり、耳を当てると紀ノ川の水音が伝わる。同寺前の畑には昔、大きな「寺小屋」(学問施設)があり、多くの子供たちが巣立ったという。
立夏翌日のこの日、同寺近くの谷川沿いでは、まさに紀州てまりのような丸い花が無数に咲いて、すぐそばの柿畑ではご夫婦が静かに農作業。対岸の植田には明王寺と山影が映り、早苗とともに水面にそよいでいた。
同寺近くには駐車場もトイレもあり時折、マイカーで訪れる観光客は明王寺に参拝した後、あたりを運動靴で散策、四季の花々や谷川のせせらぎ、野鳥のさえずりなどを楽しんでいる。
[季語・植田の俳句15句紹介]
この庵の障子破れて植田見ゆ(山口青邨)
みちのくの星曼陀羅の植田かな( 鷹羽狩行)
みちのくは奥ほど植田ととのへり(能村登四郎)
天の神地の神たちに植田澄む(右城暮石)
太陽の讃美はじまる植田水(飯田龍太)
嫁ぎ来し素顔にひろき植田かな(鷲谷七菜子)
屯田の跡一望の植田かな(高浜年尾)
川鳴りだす植田に万の星きらめき(三橋鷹女)
植田あり名に過ぎたれど草の王(森澄雄)
植田くらく城を映せるまま暮るる(山口青邨)
植田ふくらみ安曇野はいま青の時(能村登四郎)
植田ゆく花嫁の手の高く引かれ(松崎鉄之介)
犬吠ぇて夕暮のくる植田村(森澄雄)
磨崖仏植田果までみそなはす(能村登四郎)
老人の植田ただ見て立ち去りぬ(山口青邨)
写真(上、中)は満開の藪手毬(やぶてまり)の花々と柿畑で摘蕾作業に励むご夫婦。写真(下)は水田の早苗とともに初夏の風にそよぐ明王寺と背景の山影。