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役行者ゆかり日本遺産・小峯寺~山茶花あざやか紅色放つ♡寒くても参拝者の心なごむ
役行者(えんのぎょうじゃ)ゆかりの日本遺産・小峯寺(おみねじ)=和歌山県橋本市小峰台=で12月3日、色鮮やかな山茶花が満開になり、枝々には無数の蕾(つぼみ)が生まれ、寒いながらも参拝者の心を和ませていた。
小峯寺は、延宝6年(1678)の梵鐘(ぼんしょう)・鋳造文によると、奈良時代に役行者が滞在・修練を積んで始まったとされ、奈良県・王子町から和歌山市へ続く連峰の高台にある。
本堂に秘仏・馬頭(ばとう)観世音菩薩、薬師堂は薬師如来、山上の行者堂には開祖・役小角(えんのおづぬ)が祀られている。
この日は空一面、冬雲におおわれたが、山門わきでは山茶花が紅色を放つ、参拝の後、表から振り返ると、小峯寺周辺は黄葉・紅葉につつまれていた。
小峯寺では毎春、柴燈大護摩祈祷(さいとうおおごまきとう)が営まれ、ほら貝の音が鳴り響く。大勢の修験者が護摩を焚き、人々の安泰を祈願。平素は、マイカーで訪れる参拝者が、歴史豊かな寺院に咲く花々を楽しんでいる
[季語・山茶花の俳句22句紹介]
つくばいに散る山茶花の氷りけり(夏目漱石)
また逢へた山茶花も咲いてゐる(種田山頭火)
二階からみて山茶花のさかりかな(久保田万太郎)
山茶花の日の消えぎはを母歩く(森澄雄)
垣越しに山茶花散りし小溝かな(寺田寅彦)
女家族は紙屑多し山茶花散る(中村草田男)
山茶花にあかつき闇のありにけり(久保田万太郎)
山茶花に心惹るゝやすらぎも (稲畑汀子)
山茶花に昨日のごとく暮れにけり(久保田万太郎)
山茶花のくれなゐひとに訪はれずに(橋本多佳子)
山茶花のこぼれけり菊の枯るる上に(森鴎外)
山茶花のこゝを書斎と定めたり(正岡子規)
山茶花の一とたび凍てて咲きし花(細見綾子)
山茶花の垣根に人を尋ねけり(正岡子規)
山茶花の散りしく月夜つづきけり(山口青邨)
山茶花の散りしく木の間くらきかな(久保田万太郎)
山茶花の縁にこぼるる日和哉(正岡子規)
山茶花を旅人に見する伏見哉(井原西鶴)
深夜帰宅山茶花踏絵の如く踏み(楠本憲吉)
薄氷や山茶花散り込む手水鉢(寺田寅彦)
返信や山茶花がまた咲きました(角川春樹)
霜を掃き山茶花を掃く許りかな(高浜虚子)
写真(上、下)は小峯寺の山門前で満開の山茶花。写真(中)は黄葉・紅葉の森の綺麗な同寺風景。