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きれいな芙蓉の花咲いて、青空には魚のような浮き雲♡橋本・高野口~残暑・初秋の風景スマホで家族に紹介
和歌山県橋本市高野口町田原の広域農道わきで8月31日、無数の芙蓉(ふよう)の花が咲き誇り、高台に立つと、高野山の大空に海底を泳ぐような白雲がつぎつぎ流れ、心地よい残暑・初秋の風景を繰りひろげた。
かつて近辺で野菜販売していた人の話では、この芙蓉は、地元住民が「沿道を美しくしよう」と、田原川の橋から東方の池付近まで植栽。毎年、広域農道わきの数十メートル間で咲き誇る。この日、無数の芙蓉の花は満開となり、同農道のやや南東の高台に立つと、南に高野山が聳えて大空はまるで海のような輝き。いろんな魚のような形をした浮雲が、遊泳するように流れていた。
さすがにスマホ時代、マイカーの若者たちは「まだ暑いけど、景色は涼しい。家族や友だちに見せたい」とスマホ撮影に目を丸くしていた。
[季語・芙蓉の俳句・30句紹介]
反橋の小さく見ゆる芙蓉哉(夏目漱石)
明け放つ障子の蔭や芙蓉咲く(高浜虚子)
竹生島見えて吹かるる芙蓉の実(森澄雄)
虫喰の葉を従へて酔芙蓉(稲畑汀子)
白芙蓉松の雫を受けよごれ(高濱虚子)
この家に芙蓉一本のみ残る(宇多喜代子)
やや水のやさしさもどる花芙蓉(能村登四郎)
ゆめにみし人のおとろへ芙蓉咲く(久保田万太郎)
三味線も器用に弾きて芙蓉かな(久保田万太郎)
亡母訪ねくるよな夕焼白芙蓉(大野林火)
佗しさの芙蓉は酔へり茶碗酒(尾崎紅葉)
初花の芙蓉に澄めり稽古笛(能村登四郎)
反橋の小さく見ゆる芙蓉哉(夏目漱石)
君が家の鯉いろいろや酔芙蓉(森澄雄)
姉夏子いもうとくに子芙蓉咲く(久保田万太郎)
師の齢いくつ越えしや芙蓉は実に(石田波郷)
教師やめしその後知らず芙蓉の実(能村登四郎)
日曜で人通りなき芙蓉かな(久保田万太郎)
朝な梳く母の切髪花芙蓉(杉田久女)
朝涼し僧の会釈と白芙蓉(角川春樹)
物かげに芙蓉は花をしまひたる(高浜虚子)
白芙蓉曉けの明星らんらんと(川端茅舎)
白露や芙蓉したたる音すなり(夏目漱石)
竹生島見えて吹かるる芙蓉の実(森 澄雄)
美しき芙蓉の蟲をつまはじき(後藤夜半)
胸の手のつめたく覚めし花芙蓉(鷲谷七菜子)
芙蓉ヨリモ朝顔ヨリモウツクシク(正岡子規)
虫喰の葉を従へて酔芙蓉(稲畑汀子)
補陀落といふまぼろしに酔芙蓉(角川春樹)
霧雨の空を芙蓉の天気哉(松尾芭蕉)
黒髪を梳くや芙蓉の花の蔭(日野草城)
写真(上、下)は橋本市高野口町の広域農道沿いに咲いたピンクの芙蓉の花。写真(中)は南東の高台から眺めた高野山と青空を流れる秋の雲。