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もの作りは「感謝、目配り、心配り」大切♡紀州高野組子細工師7代目・池田秀峯さん~紀北工業高校へ出前授業
和歌山県橋本市東家の紀州高野組子細工師7代目・池田秀峯(いけだ・しゅうほう)さん(77)による「出前授業」が7月12日、和歌山県立紀北工業高校で行われ、伝統文化の継承・発展に取り組む思いを伝授、生徒たちが真剣に耳を傾けていた。
池田さんは、江戸時代に京都から高野山・寺院に伝わった「紀州高野組子細工」を6代目細工師の父清吉(せいきち)さん(故人)から継承。
平成9年(1997)には天皇・皇后両陛下の御来県記念に勇壮な鯨(くじら)を表した衝立(ついたて)「勇泳」、同11年には明治神宮に額「桜漫(ろうまん)の冨士」を献上するなど活躍。
平成28年(2016)5月には、近隣火災による被災で、木工場や逸品の風神・雷神の屏風、保存木材など、すべて灰燼(かいじん)に帰したが、今なお組子細工に精進している。
この日の「出前授業」は同校システム化学科で開かれ、3年生11人が出席した。池田さんは先ず、自筆の題名「ものづくりはひとづくり」のコピー文を全員に読んでもらった。そこには「私が主に使っている銘木と称される高野六木(マツ・モミ・ツガ・スギ・ヒノキ・コウヤマキ)は、何百年もの間、山師たちに守られ伐採されて人里に出てきます。そして職人たちが知恵と経験を活かしながら、人と木の物語を作っています」などと書いてある。
この後、池田さんは前席で組子細工の技術を一心に披露。生徒たちは目を見開きながら理屈を超えた感性の大切さを学んでいた。
システム化学科・科長の中村裕(なかむら・ひろし)教諭は「きょうはものづくりの要点を教えてもらえた。生徒たちも素敵な作品作りに励んでいるので、池田さんとのコラボ作品ができたら有難いです」と期待していた。
写真(上、下)は生徒たちに組子細工の技術を披露する池田さん=紀北工業高校・システム化学科で。写真(中)は池田さんの高野組子細工の組子材。